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ep10.『聖母と道化、その支配人』 さりげなく懐に飛び込む算段

さて、どう切り出す?

奴らが退散してからも水森唯は全く動じない様子で本を読んでいる──────────ように見えた。


「……よお」


俺は極力、平静を装って水森に話し掛ける。


そう。不自然であってはならないんだ。


この世界線では──────────俺と水森唯は全く、何の関わりも無かったんだ。


急に話し掛けたら不審に思われるだろう。


俺は頭の中を高速回転させながらどうにか言葉を探した。


何読んでんだ?という俺の問いかけに対し、水森唯はそっけなく答える。


「……別に」


まあそうだよな。


さっき“陽キャグループに入ってると思い込んでるイキり陰キャのキョロ充野郎共”に嫌な絡まれ方をされたばっかりだもんな。


警戒するのも当たり前だ。


それどころか俺もアイツらの仲間だと思われてても仕方ないよな。


「なんかさ、俺、読書感想文を書かされる羽目になっちまってよ。オススメの本て何かないか?」


俺がそう口にすると────────水森唯は視線をこちらに向ける。


「……え?」


いやさ、と俺は極力何でもないようなフリをして続けた。


「この前さ、加賀に喫煙がバレちまってさ。もうカンカンなんだよ。加賀の奴さ。それで校長と面談になった訳なんだけど──────」


俺はやれやれといった風に話をもっともらしく続けた。


「反省文とは別にさ、読書感想文も追加されちまってさ」


水森唯は読みかけの本をパタンと閉じ、俺の方を向いた。


行ける。


俺はその時そう確信した。


「だからさ、なんかそれっぽい本とか無いかなってここに探しに来たのはいいんだけど───────────」


それから俺は特に強調してこう言った。
















「俺、ゼンゼンわかんなくてさ。なんかオススメの本とかあったらさ、俺に教えてくんね?」


これでどうだろう?

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