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ep10.『聖母と道化、その支配人』 スクールカースト学年最下位の存在
俺はどうするべきだろうか。
──────昼休憩。
俺は図書室に向かった。
水森唯はそこに居る気がしたからだ。
俺は滅多に来ない図書室に足を踏み入れ、周囲を見渡した。
昼休憩の図書室はそこそこ賑わっていた。
陽キャ共が集まって何かの雑誌を広げている。
俺は自分自身の存在感を殺しながらもそろりと注意深く図書室内を歩いた。
普段ならこんなとこには来ないからな。目立ってもあまり良く無いだろう。
しばらくして書架の影に見慣れた姿を見つける。
何の本だろうか。
古びた本を手に取ってパラパラと捲っている。
どうしよう。
声を掛けるべきか──────────
俺が少し迷っていると、背後から下卑た笑い声が響いた。
「ギャハハ！！ダルシムがこんなとこ潜んでやがったんだけど！！ウケるwww」
俺は咄嗟に振り返る。
同じクラスの田所と、隣のクラスのキョロ充どもがゲラゲラと笑いながらそこで囃し立てていた。
「てか、きっしょwww陰キャがこんなとこに居んのマジでウザイし迷惑なんですけどぉ〜！？」
水森唯に聞こえるように田所達は大声で野次のようなものを飛ばす。
野次？
いや、そんなもんじゃない。
もっと悪意のある─────────そう、これは一方的にぶつけられる悪意そのものだ。
どうしてだか俺の中から理由の判らない怒りが突沸する。
「おい！」
────────────気付けば俺は、田所の肩に手を掛けていた。
失礼にも程がある。
