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ep0. 5 「真夏と昼の夢」(心臓が止まりそう)

(続き)双方まだ達してない。

もう二人とも脳味噌がぐちゃぐちゃになったような状態だった。

夜の時間帯とは言え夏の秘密基地、プレハブ小屋はそれなりの気温だった。

体温すら沸点寸前の二人は汗に塗れたまま快楽を貪っていた。

脳震盪のようなメリーゴーランド。マコトの視界の天井はぐるぐるとした模様を見せつける。

フルマラソンのような体力と気力を全速力の快感と共に消費していく。

少年がセットしたいつものヘアスタイルは汗と体温で全て前髪として降りている。

その額から滴る汗が下に組み敷かれたマコトの頬に落ちる。

涙とも汗ともつかない生温かい体液がポタポタと滴る。

なんか、セックスって思ったのと全然違うじゃん。

嘘つき。

とマコトはこの世界と大人に向けて毒付く。

少女マンガとかエロ同人誌とかで見たのと全部違うし。

ああいうのってメインの男キャラがすっごい美形に描かれてるし立居振る舞いもスマートだし「愛してる」とか気の利いた台詞をサラっと言ってるじゃない?バックにキラキラしたエフェクトとかあったりもするし。

マコトは少し可笑しくなった。

ガックンなんかオシャレで胸キュンみたいな台詞全然言わないし。私服とかロクに持ってなくていつも制服だし。しかも佑ニーサンのお下がりの短ランだし。イマドキ短ランとか着てる人居なくない?コスプレの域じゃない?どこの田舎者なの?二人揃って汗だくでロマンチックもへったくれもあったもんじゃないよね。さっきからボトボト汗が僕の顔に落ちてくるのどうなの?あり得なくない?ムードとか台無しだよね?

けど。

マコトはそっとその右手で少年の頬を愛おしそうに撫でた。

世界一カッコ悪くて、でも世界一大好きな存在。

大好き。

本当に大好き。

大好きで苦しいよ。

僕を全部キミのモノにしてよ。

ああ、僕、生まれた意味が今やっとわかった。

キミに会うために僕は生まれてきたんだ。

キミとこうして一つになるこの瞬間の為だけに今までの人生ってあったんだ。

そう、ただこの瞬間の為だけの生命。

僕の身体と心はキミと繋がる為にあったんだ。

他に使い道なんてないよ。

僕の全部はキミのモノなんだから。

キミの居ない残りの人生なんてもう必要ない。

「僕、この瞬間にもう死んでもいい」

マコトは嘘偽りない狂おしいまでの本心を吐き出す。

焼けつくような強く切ない感情に突き刺される。

その胸が締め付けられるような痛みと高揚感を感じた。

マコトの身体の変化は少年にも共有された。

あ、ダメもう、と少年は呟きその動きを更に強めた。

激しく打ち付けられる動きに耐えられずマコトは絶叫する。

その唇から切ない声と受け止め切れない快感が漏れる。

更に強く少年の背中に爪が立てられる。

その瞬間に最大風速の快感が二人の身体を貫いて通過する。

激しく強く上り詰めた感覚が全て解放される。

マコト、と小さくその名前を呼んだ少年は身体を一瞬反応させゆっくりとその動きを止めた。

そのまま全身の力が尽きたかのように脱力する。

初めての快感に神経が耐えられず腰が抜けそうになる。

少年はマコトの身体の上に倒れるように覆い被さった。

ガックン、と呼びかけたマコトはそのまま彼の頭と肩をゆっくりと撫でた。

荒い息遣いのまま二人はそのまま絡み合っていた。

あ、ダメだ、と少年は思い出したように上体を必死で起こす。

残りの力でマコトからその身体の一部を引き抜いた。

その後萎んだ水風船のようなものを身体から引き剥がす。

なんか、終わったら早く抜かねぇと漏れるって概史が、と少年は呟いた後ハッとしたようにマコトを見た。

じっと見られると少し恥ずかしい。

え、コレってこんなのなんだ、とマコトはそのピンク色の水風船のようなものを凝視した。

中身が漏れ出ないように根元を結んだ少年もまじまじとそれを見つめた。

この中に何億もの俺の子どもがいるんだなぁ、と呟く。

そうなんだ。とマコトも不思議そうな表情を浮かべた。

少年はそれを感慨深そうにそっとティッシュに包んでごみ箱の奥に隠す。

二人とも汗だくでベタベタとしたオイルのような液体に塗れていた。

少年はウェットティッシュの筒を手に取ると数枚取り出した後にマコトに渡した。

シャワーや水道のない場所ではこういったウェットティッシュが重宝するというのは佑ニーサンから教わったライフハックの一種だった。


身体を拭いてトランクスを履いた少年はソファに倒れ込むように座った。


マコトはパーカーを羽織ってその横で深く背もたれに寄りかかっていた。


何もかもがブッ壊れた瞬間ってこうなのかもしれない。

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