ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 秋祭り開催RTA①
祭り開催予定時刻まで24時間を切ってるんだよな……
通話を終えた俺は一旦、御月とドッペルゲンガーに報告する。
「会場は何とかなりそうだ。けど、肝心のメンバーがまだなんだよな」
さっき小泉にシンジも参加する流れにして貰えるように頼んだのはいいが───────
ああ、と御月は頷く。
「オレもさっきキクコを誘ってみたんだが……明日来るって」
小泉とシンジ、諸星キクコは確定でいいだろうか。
シンジが参加するとなると必然的に天宮列奈も来ることになるだろうし、四人は内定と考えていいだろう。
「へぇ!意外にトントン拍子じゃねぇかァ!?」
会場を押さえられたのはデカいよなァ、と佐藤次郎(仮)は感心する。
「安心すんのはまだ早いだろ。四人じゃゼンゼン足りてねぇよ」
俺はスマホを再び手に取り、今度は佑ニーサンに電話を掛ける。
3コールくらいで出た佑ニーサンは意外とご機嫌だった。シラフではなさそうだ。
「んー?ガックンー?どうしたのこんな時間にー?」
なんかあったのー?と尋ねてくる佑ニーサンに、明日の件をざっと話した。
「えぇー!?お祭りー?小泉先生のとこの神社でー?」
楽しそうだねぇー、と呑気に反応してくる佑ニーサンに俺はこう打診した。
「ゲストじゃなくてさ、佑ニーサンには主催側の方を手伝って欲しいんだけど─────」
ええー!?とスマホ越しに素っ頓狂な声が部屋に響き渡る。
「とりあえずさ、水槽二個はあるからヨーヨー釣りと冷やしラムネ、冷えたドリンク系は決まりなんだけど……鉄板とか何に使うかまだ未定でさ」
なんかいいアイデアねぇか?と俺が訊ねると佑ニーサンはしばらく考え込んでからこう言った。
「うーん……そうだなー。そういうのはフーミンが割と得意かもよー?なんと言っても飲食店経営者だしねぇー」
僕からフーミンを誘ってみようかー?という佑ニーサンの言葉に俺は飛び付く。
「マジか!?フーミンが協力してくれるんなら勝ち確みてぇなモンじゃねぇか!?」
まあ、フーミンにも都合があるしあんまり期待しないでねー?と佑ニーサンは少し困ったように答えた。
「あ、それとさ。もしよかったら由江さんも誘えねぇかな?ちゃんとした大人の女の人にも居て欲しいし────」
センセェだけじゃ不安だろうしさ、と俺が言うと佑兄さんは相槌を打った。
「そうだねぇー。由江は昔からお祭りとか好きだったし……誘ったら来てくれるかもねぇ」
なるほど、いい流れじゃねぇか。
内定した訳ではないが、由江さんとフーミンには打診して貰えそうだ。
普段からバーを経営してるフーミンや佑ニーサンなら縁日や屋台なんかも上手く盛り上げてくれそうだし……
俺が手応えを感じていると、佑ニーサンはこんな提案をしてきた。
「あー。そうそうー。鉄板があるんならー。業務スーパーで棒付きのフランクフルト買ってきて焼くのはどうー?」
焼くだけだから比較的お手軽だしコスパもいいよー?というニーサンの言葉に俺は衝撃を受けた。
「マジか!?それいいじゃん!そのアイデアいただき!!」
確かに、業務スーパーで袋に入った棒付きのフランクフルトを見た記憶はあった。
税込320円くらいで5本入りだったような────── 一本あたり60円くらいじゃねぇか?
これなら沢山用意することも出来そうだ。
焼くだけでお祭り感が出るメニューなのはすごくポイントが高い。
佑ニーサンに明日業務スーパーで買って来て貰うよう頼んでから通話を終えた。
───────もしかしてこれってマジでなんとかなりそうじゃねぇか!?
業務スーパーは神。




