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ep0. 「真夏の夜の爪」 57.身体の穴を埋める行為

一人じゃなくて二人でやることだもんな。

「二人とも生命エネルギーを取り込むって事っスかね」


お互いがお互いの心と身体を満たす行為。


お互いがお互いを喰らい合う?


お互いがお互いの全てを差し出す?


少年はマコトの横顔を思い浮かべた。


マコトは俺を満たしてくれようとしているんだろうか?


頭も胃袋も空っぽな俺をか?ついでに財布も空っぽと来たもンだしな。


マジで何も無ぇぞ俺は。


自分の心臓の速度が加速したように少年には思えた。


自分の顔が紅潮して来たのを感じた少年は自分の両頬を掌で二、三回叩いた。


あの先輩、と概史が少年に何か言いたそうにしている。


ああ悪ィ、どうした?と少年は概史を見た。


撫子が言ってた事なんスけどね、と概史は切り出した。







「“自分の身体に知らない空白、ぽっかりと穴が空いてるなんて今まで知りもしなかった。けど、それを埋める手段があるなんてもっと知らなかった”って」







事後の話だろうか。


今更だが少年は赤面した。


片方の身体にぽっかりと空いた穴をもう片方の身体で埋める。


アダムとイブの時代からずっと人類が繰り返して来た行為。


マコトの心と身体にあるぽっかりと空いた穴。


俺が埋められるだろうか?そんな事が本当に出来るのだろうか。


少年は緊張した表情を浮かべた。


いやいや先輩、と概史は続けた。


「穴に棒を突っ込むなんてケン玉と一緒ッスよ」


「ケン玉」


少年は繰り返し呟く。


難しくは無いんスからそう気負わずに、と概史がフォローする。


いやいや結構ケン玉って難しくね?練習とか相当必要じゃね?世界一周とかすんだぜ?と少年は思わずこぼす。


まあ確かに穴に棒突っ込むだけって言われたら確かにそうなンだろうけど、と少年は眉間に皺を寄せる。


本能に身を任せたらいいっスよ、と面白半分のようなアドバイスを貰った少年は更に困惑した。


「後ですね、秘密基地内にあるソファ、結構小汚いし不衛生だと思ったんで家にあった貰い物のソファカバー掛けときました」


タオル地なんで肌触りはいいと思うっスよ、と概史は笑顔をみせる。


おいおい、小学生にここまでバックアップされるってどうなの、と少年は今更気恥ずかしさを感じた。


「さあ、もう夕方ですしそろそろ準備しないとっスよ先輩」


「他に準備ってあンのか?」


少年は思わず聞き返す。


お風呂入って身だしなみ整えないと、という概史の言葉に生々しさといよいよ時間が差し迫っていることを感じた少年は更に赤面した。


概史は更に念押しする。





「あと、その爪は絶対切って短くしてくださいね」

ケン玉って意外に難しいと思うんだが俺が不器用なだけか?

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