ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 謎すぎる遺伝子の同居人
どうやらコイツは呪われていないらしいが。
「好きでもねぇ女とセックスとか俺だったら絶対ゴメンだけどな」
ドッペルゲンガーは半ば呆れたような表情で俺を見る。
コイツのこのリアクションから察するに、ドッペルゲンガーのいた世界では呪いの発現てのは無いんだろう。
「おいおい。俺だってやりたくてヤッてる訳じゃねぇし」
コイツ、俺のことなんか誤解してね?
もしかして俺が最初思ったみたいに──────“女とセックスしまくっても時間は戻るし相手の記憶も消えてるとか最高じゃね?”とか考えてんじゃねぇだろうな?
「へぇ?違うのか?」
ドッペルゲンガーがやや疑うような目付きで俺を見てくる。
「そういいモンでもねぇよ。失敗したらどうしようとかプレッシャーとかあるしさ。ミスったら時間を戻れねぇ訳だからよ」
もうね、コレってマジで義務っつうか……半ばお務めみたいなモンだからよ、と俺が吐き捨てるように言うとドッペルゲンガーは黙った。
「……ふぅん」
「俺に責任とかさ、全部あるワケだろ?そんな中で完璧に最後までヤんなきゃいけねぇのってすっげぇハードモードだぜ?」
こう見えてもさ、俺って結構繊細だしよ。毎回凹むしメンタルなんかズタズタにやられてるし────────と俺が言うとドッペルゲンガーはそっか、とだけ呟いた。
「まあ、なんか知らんけど早くその呪いってヤツが解けたらいいな」
2本目の缶ビールを開けながら─────────ドッペルゲンガーはやや同情したような口調でそう言った。
「まあ、それはそうなんだけどさ。それよりお前、これからどうするんだよ?」
俺の呪いってのはすぐにどうにか出来るようなモンでもねぇからな。
そんな事より──────このドッペルゲンガーとその子どもをどうするかっていう方が先決じゃねぇか。
「……まあ、暫くの間、ここで厄介になるぜ」
ドッペルゲンガーは既に決定された事柄であるかのようにそう言い放った。
「ハァ!?なんで俺んちでお前らを─────」
俺の言葉を遮り、小泉が首を振った。
「まあ待て。またコイツにあちこちで悪さをされたらお前も敵わんだろう」
ここは一つ、目の行き届く範囲に居てもらった方がお前にとっても好都合なんじゃないか、と小泉は小声で俺に言う。
そりゃそうなのかもしれないけどさ─────────
こうして、突如として俺とドッペルゲンガーとその息子との奇妙な同居生活が始まったのだった。
俺ら3人って同じ遺伝子で構成されてんの?




