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ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 サバイバルモード二人プレイ

さて、どうするべきか。

俺と小泉は学校を抜け出した。


小泉は午後の授業が無いと言うので一緒について来ることになったのだが────────────


「しかし佐藤、何か心当たりはあるのか?」


相手についてとか、行きそうな場所とか、と問いかけてくる小泉に対し俺は何も言えなかった。


正直、さっぱり分からん。


だがこのままにしておくと更に面倒な事になりそうではあるよな。


これ以上濡れ衣を着せられるなんてたまったもんじゃねぇ。


「とりあえず、あちこち回ってみるしかねぇよな」


駅や公園、スーパーやコンビニ。


それらしい場所を片っ端から当たってみるしかないだろう。


俺と小泉が駅の方角に向かって歩いていると、不意に何者かが立ち塞がる。


「ちょっと〜ガックン〜?」


間延びした独特の喋り方。


佑ニーサンだった。 


「どうしたんだよ?昼間からこんな場所を徘徊してさ?」


また昼間から酔ってんのか、と俺は佑ニーサンの姿を眺めた。


相変わらず奇妙な服を着ている。シラフなのかどうななのかすらも判別がつかない。


佑ニーサンていつも何やってんのか謎なんだよな。職業不詳だし。


「それはこっちの台詞だよ〜?」


佑ニーサンはやや困惑したような表情を浮かべた。


あ、いつも佐藤がお世話になっています、と小泉は急にかしこまって佑ニーサンに挨拶をする。


「あ、小泉せんせー。いつもウチの子がご迷惑ばかり掛けてすいませんねぇ〜。ホントに手が掛かる子で──────」


いえいえ、とんでもありません、と小泉は首を振る。


いや、保護者トークとかやってる場合じゃねぇし。


「てか、ガックン〜?酷くない?急に僕のこと突き飛ばして逃げるなんてさ〜?」


『え?』


俺と小泉は思わず顔を見合わせる。


「俺が───佑ニーサンを突き飛ばした?」


そんな筈はない。


俺と小泉はたった今、ここに来たばっかりじゃないか。


「何言ってんの〜?さっき、僕が声を掛けたらさ〜?『うわ!オッサンじゃん!』って言いながら僕を突き飛ばしてったでしょ〜?」


酷いよガックン〜?という佑ニーサンの言葉に俺は絶句した。


さんっざん世話になってる保護者代わりの佑ニーサンを俺が付き飛ばした?


断じてあり得ない。


「僕、一応まだ20代なんだけど〜?オッサンとか酷くない〜?」


「いや問題はそこじゃねぇだろ?!」


オッサン呼ばわりされたのが余程こたえたのか、佑ニーサンは悲しみに満ちた表情を浮かべる。


「ちげぇし。今さ、俺によく似た奴が俺のフリして悪さしまくってんのを追っかけてんだよ」


俺と小泉は簡単に事情を説明する。


「え〜?そっくりさん〜?」


それってドッペルゲンガーじゃないの〜?と何気なく呟いた佑ニーサンの言葉に俺は反応した。


「何だよドッペルゲンガーって?」


「この世には〜自分とそっくりな人が3人は居るってよく言うよね〜?」


「ああ、よく聞きますよね」


佑ニーサンの言葉に小泉が相槌を打つ。


「なんかさ〜自分のドッペルゲンガーを2回見た人は死ぬっていういう都市伝説もあるけど〜」


「ハァ!?なんだそれ!!???」


佑ニーサンの言葉を遮って俺は思わず叫んでしまう。


「じゃあ俺か向こうか、どっちかが死ぬって事か!?」


そうかもね〜と佑ニーサンは相変わらずの間延びした声で答える。


「は?!?マジで言ってんのか!?」


「ちょっと待て。本体はお前だろう?どうしてお前の方が死ななくちゃならないんだ?」


すかさず小泉がツッコミを入れる。


「いや、よく考えたらそうだよな!?本体は俺だし仮に死ぬとしたら偽物の方じゃねぇとおかしいよな!?」


俺がそう言うと佑ニーサンは首を傾げながらこう呟いた。


「そうとは限らないかもよ〜?もしかして向こうの方が本体だったりして〜?」


なーんてね〜、と佑ニーサンは冗談っぽく付け加えて笑って見せた。


おいおいおい。シャレになってねぇだろうがよ。


巫山戯た話にも程がある。


「俺の方が先に奴を見つけて生き残ってやるし!?ドッペルゲンガーだかなんだか知らねぇがブチのめせば問題ねぇだろうがよ!?」


最初は迷惑な話だと思っていたが……予想以上にこれは厄介な事件なのか?









生き残りを掛けて俺と小泉は─────────────“ドッペルゲンガー”とやらを先に見つけてブチのめさなきゃなんなくなった訳だ。


いや、本体はこっちだよな……?そうだよな?

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