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ep7『ドッペルゲンガーと14歳の父』 濡れ衣

静かな日常生活を送ってる筈だったんだが

平穏な日常。


やっとのことで手に入れた生活の筈だったが───────それは早くも打ち破られた。


「何やってんだ佐藤!?」


どういう訳か急に美術準備室に呼び出された俺は──────何故か小泉に詰問されていた。


「───え?俺、何かしたか?」


課題だって出してるし、保健委員の仕事だってちゃんとやってるだろ?という俺の返事を最後まで聞かず、小泉は俺ににじり寄った。


「すっとぼけるのもいい加減にしないか!?ちょっと悪ふざけが過ぎるんじゃないのか!?」


怒られるような事をした覚えがない俺は戸惑いを隠せなかった。


そもそも、最近の俺は(学校でだけは)すっかり真面目になっていた─────つもりだった。


授業も真面目に受けるし、遅刻も早退もしない。課題もキチンと提出する。


俺的にはそれだけで大した進歩なんだが。


「……ええ?俺が何したってんだよ?」


俺がそう漏らすと小泉はギロリと俺を睨む。


「校内で昼間から飲酒とは──────言語道断だろう!?」


ハァ!?


「ちょっと待ってくれ。俺が飲酒!?」


しかも校内でか?


そんなの絶対にあり得ない、と俺が反論すると小泉は苛立ちを隠す様子もなく俺に詰め寄る。


「お前がワンカップ大関を飲みながら歩いている所を目撃した生徒が何人も居るんだ」


「ワンカップ大関!?」


いやいやいや……


ストゼロとかならまだわからんでもないぜ?


でもよりによってワンカップ大関!?


「マジで待ってくれ。ガチであり得ん」


俺はブンブンと首を振った。


「ついさっきの出来事だ。言い逃れはできんぞ、佐藤」


小泉は呆れたようにため息をつく。


「俺って実は酒に強くないってセンセェは知ってるよな!?」


なんで俺がよりによって学校でワンカップ大関飲んでんだよ!?オッサンじゃねぇか、と俺が言うと小泉も口籠った。


「……ん。まあそれは確かにそうなんだが──────」


ほらな?そうだろ?


「それに俺、今度から(校内でだけは)真面目になるって決めたし──────センセェに迷惑掛けたくないって思ってるからさ」


これ見よがしに校内で飲酒なんて絶対にしねぇよ、という俺の言葉に小泉も頷いた。


「……そうだよな。確かに佐藤は最近真面目になったし─────授業も課題もよく頑張ってる」


そうだろ?まずは落ち着けって小泉。


俺は小泉のそばにズイと身体を近付けた。


「なあ、俺がホントにさっきまで酒飲んでたってんならさ、酒臭いハズだろ?」


ちょっと確かめてみてよ、と俺は小泉の身体を抱き寄せた。


「……えっ!?」


小泉は一瞬、狼狽したように固まる。


「なあ、俺がホントに酒飲んでたと思う?」


……いや、と小泉は蚊の鳴くような声で小さく答え首を振った。


小泉の誤解は解けたようだが────────












「なんかアレか?俺のことをハメようとして誰かが集団でウソついてんのか?」


ひでぇ濡れ衣じゃねぇか

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