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ep6『さよなら小泉先生』 ノックは無用

たまにはこういう休日も悪くないかもな。

商店街の端にある画材専門店で目当ての物を無事買えた小泉はそう悪くない機嫌なように思えた。


さっき諭吉を溶かしながらも欲しかったプライズ品を取り逃がしてたからな。


てっきり鬱モードにでも入ってるのかと思ったがそうではないようで─────俺は少し安堵した。


コインパーキングに車を停めていたので徒歩でそこまで戻る。


普段はあまり来ない場所なので新鮮な景色に感じられる。


商店街のアーケードは店舗数は減ったとは言え、それなりの活気を見せていた。


ふと、小泉が小さめの玩具店の前で足を止めた。


「ん?なんだよセンセェ。おもちゃでも買いたいのか?」


「いや……あれって懐かしいなと思ってな。まだあったとは」


小泉が少し嬉しそうに玩具店の店先にあるゲーム機に触れる。


「ん?これってMVS?ネオジオの格ゲーじゃん」


俺の反応をよそに、小泉は小銭入れから100円玉を取り出し筐体に投入する。


「まだ現役とはな。骨董品じゃないか」


どこか嬉しそうに小泉はKOF98をプレイし始めた。


プレイヤーセレクト画面では手慣れた様子で舞・アテナ・ユリを選択している。


なかなかやり込んでいそうではある。


すかさず俺もコインを追加で投入した。


「センセェが格ゲーやるなんて知らなかったな。俺と手合わせしてよ」


「ちょ……急に何で乱入してくるんだ佐藤!?」


俺は庵・社・山崎を選んだ。なんかコイツら、使いやすい気がするんだよな。


急な対戦ではあったが、小泉の動きはまあまあトリッキーだった。


ちょこまかと動く小泉に翻弄され、1ラウンド目は負けてしまった。


2ラウンド目。


相変わらずの小泉の動きに惑わされた俺だったが、それはある一定のパターンであることに気付いた。


ヒットアンドアウェイ戦法。


三角跳びなんかを多用して遠距離ジャンプ大キックで相手の懐に飛び込みヒットしたらすかさず近距離立ち大キック→超必殺技に繋げてるパターンしか無いんだな。


舞の場合だと遠距離ジャンプ大キック→近距離立ち大キック(or近距離立ち大パンチ)→龍炎舞or 必殺忍蜂or超必殺忍蜂、だったりだな。


見切ってしまえばこちらのモノだ。


間合いに飛び込んで来る小泉を次々と対空技で撃ち落としていく。


庵の対空技、鬼焼き(強)は出始めに若干の無敵時間があるから使い勝手が良すぎる。


「なっ……!?」


小泉は今までの戦法が全く通じなくなり焦っているようだがもう手遅れだ。


俺は勢いに乗ってそのまま3タテを取って勝利した。


「……なんで急に火力が上がったんだ佐藤!?」


途中までは私が勝ってたじゃないか、とワナワナと震える小泉を尻目に俺はこう言った。










「センセェの考えてることなんか全部お見通しなんだよ。ゲームでも、それ以外でもさ」

なんかメチャクチャ気分いいな。

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