表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

512/1123

ep6『さよなら小泉先生』 地獄の詰め合わせ

偶然がもたらした悪魔ってことか。

「……変換されて特別変異のような状態になった[電子ドラッグ]が催眠アプリのような効果をもたらしていると──────?」


そういう事なんでしょうか、と俺はシンジに訊き返した。


「まあ、概ねそんな感じだと思って頂いて大丈夫です」


ただ、とシンジは深刻そうな顔で付け加えた。


「発動条件は更に複雑なんです。この動画単体では意味をなさなくて──────ある脱法薬物がトリガーになるそうです」


「脱法薬物!?」


催眠アプリに電子ドラッグ、挙句に脱法薬物か。


生真面目なシンジの口から出てくるとは思えないイリーガルな単語の数々に俺は面食らう。


だが、問題はそこじゃない。


オカルトマニアでもなければ都市伝説愛好家でもないシンジがこんな奇妙な話を俺に語る理由はたった一つだ。


「あの、これらの電子ドラッグや脱法薬物というのはもしかして──────」


小泉さん……あなたのお姉さんと何か関係があるのではないですか、と俺は直球でシンジに問いかけた。


俺、回りくどく聞くのは苦手だからな。そういうやり取りって下手くそだし。


「……はい。おっしゃる通りです」


シンジは肩を落とし、脱力したようにそれを認めた。


「確信があるという訳では無いんです。ただ、鏡花姉さんがおかしくなった時期と─────その[催眠セット]が一部の若者達の間で話題になっていた時期と一致するというだけで」


「[催眠セット]?」


今度は催眠セットか。催眠アプリ、電子ドラッグ、脱法薬物。挙げ句の果てには催眠セットときたもんだ。


まるで犯罪のバリューパック、地獄の詰め合わせじゃねぇか。


はい、とシンジは頷いた。


「現在ではその動画サイトにアップロードされた[電子ドラッグ]の投稿は運営によって削除されています。当然ですよね」


しかし聞いたところによると……ダウンロードされた動画ファイルが最近また出回りはじめたらしくて、とシンジはやや語気を荒げて続けた。


「けど、動画ファイル単体では意味をなさないんでしょう?」


それならば問題は無いのでは、と俺が何気なく言うとシンジは首を振った。


「それがそうでもないんです。一緒に使うと効果があるとされている脱法薬物は……特定の市販薬を組み合わせて作られているものらしいんです」


──────市販薬の組み合わせで作る?








それって………場合によっちゃ誰でも入手可能って事じゃねぇのか!?


市販薬ってあれだろ、ドラッグストアとかで売ってるやつだろ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ