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ep0. 「真夏の夜の爪」 51.ゼリーとジェルと飴と鞭

前二つは絶対あった方がいい。

翌日の昼。少年の自宅を訪ねたのは意外な人物だった。


「先輩、ちょっといいっスか?」


久しぶりに見た気がする概史の顔だった。


急にどういう風の吹き回しだ?少年は概史に上がるように促した。


「どうしたンだよ?何かあったンか?」


訝しがる少年に対して概史は事もなげに言い放った。


「何かあったのは先輩の方じゃないスか?」


畳の上に座り、概史は少年をじっと見た。


「今晩出かけるんでスよね?」


さっきまで眠っていた寝起きの少年は戸惑った。


頭が上手く回らない。


夏休み期間中はかなりタイトにバイトのスケジュールを入れていたが、今日は久しぶりのオフなので昼過ぎまで惰眠を貪って居たのだ。


ここ数日の精神的、肉体的な疲労などもピークだった。


「……?」


「なんか飲みまス?」


概史がファンタオレンジのペットボトルを差し出す。


ああ、と生返事をした少年はそれを受け取り少し飲んだ。


「なんか約束でもしてたか?」


概史の訪問の意図が掴めない少年は怪訝そうな表情を浮かべた。


おれ、気の利かせ方とかわかんないんで単刀直入に言いまスね、と前置きした概史はストレートに言葉をぶつけた。


「先輩、要は今から童貞捨てに行くんスよね?」


ちょっと違うかもしれないけど、つまり今日セックスするって事でしょう?と概史は少年の方を見た。


何で知ってるンだこいつは、と少年は身構えた。


「そんな怖い顔しないでくださいよ。おれ、佑ニーサンから聞いて来ただけなんスから」


用が済んだら邪魔しないようとっとと帰りまスんで、と概史は苦笑いした。


「大事な日でスもんね?」


少年は溜息を吐いた。


あのお喋り野郎、余計なことしやがって。


「まあまあ、おれはコレ持ってきただけなんで。ホント勘弁してくださいよ」


概史は小さめのコンビニ袋を少年に手渡した。


おう、何だよ、と袋の中身を見た少年は硬直した。


未開封の紙の箱が二つ。


一つはピンク色のパッケージに蝶々のマークが描かれた箱だった。


その意味が理解できた瞬間に少年は赤面した。


「これって……」


「ゴムっス。未開封のなんで安心してください」


あ、先輩もう買ってましたか?余計なお世話でした?という概史に少年は首を振った。


いや、まだ、と力なく呟いた少年はパッケージを凝視した。


そうか、これっておれが用意しなきゃいけなかったんだよなとぼんやり考えた。


「ジェル増量タイプなんで初めて向きな気がするんッスよね」


ジェル……?と少年は間の抜けた返事を返す。


「あ、こっちの方の箱はゼリーなんで必要に応じて使ってくださいね」


「ゼリー」


少年は意味がわからず繰り返す。




「?」


開始前にデザート食べるんか?

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