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ep6『さよなら小泉先生』 遠い日の約束

それにしても地味な石だよなぁ。

それはなんとも奇妙な話に思えた。


“出現するタイミング?”


見逃さずにちゃんと確保出来るだろうか。


でも、迷ったり尻込みしてる場合じゃないんだよな。


やるしかねぇんだ。


俺は頷き、小泉に黒い石を手渡した。


「“コレ”は本来の目的の為に存在したんだが─────今回、“余剰分(・・・)”の力がある事が判明してな」


往復分くらいのエネルギーが残っていて……それで未来からここまで来れた訳だ、と小泉は少し感慨深そうな表情を浮かべた。


「そうなん?まあその石のお陰で助かったってことか」


本来の目的ってのがなんなんだか知らねぇが─────まあ、謎の力が存在してるって事なんだな。


「まあ、さっきの白い紙のヤツと石の件はわかったけどよ」


あともう一個ってなんなん?と俺が尋ねると小泉は少し余裕のある様子で笑った。


「ああ、それは──────」


お前に、二十歳の私を守って欲しいんだ、と小泉は言った。


意外な言葉だった。


「守る?俺がセンセェを?」


まあ別にいいんだけどさ。なんか予想してなかったからなんかピンと来ないような気がするんだよな。


「なんか危機でも迫ってんのか?ヤバい奴に狙われてるとか?」


俺がそう訊くと小泉は首を振った。


「まあ、危機は常に迫ってたりはするんだが」


そうじゃなくて、と小泉は俺の頭を撫でた。


「14歳のお前をさっき見た時は随分と子どもなんだなって思ったんだが──────20歳の時の私もそう変わらないって気がするんだ」


「え?」


俺が聞き返すと小泉は懐かしそうに言葉を続けた。


「今から振り返ってみたら……あの時の私はまだ子どもだったなって思うよ。虚勢を張ってはいたが、何もかもが手一杯で────」


全然素直でも無かったし無茶ばかりしていたよ、と小泉はまた少し笑った。


「だからお前に……“二十歳の時の私”を守ってやって欲しいんだが─────できる範囲で構わないんだ」


「何言ってんだよ」


俺は小泉の言葉を遮るように答えた。


「そんなの当たり前だろ?心配しなくていいぜ」


俺、もし元に戻れたらさ。今度こそ絶対センセェのこと心配させねぇようにするし、と俺は小泉の目を見て言った。


「絶対守る。約束するよ。センセェを未来の旦那に引き渡すまで何があっても俺が守るから─────」


俺がそこまで言うと小泉はまた少し笑った。


「頼もしいな。私も安心して10年後に帰れると言うものだ」


そう言うと小泉はポケットから何やら飴のようなものを出してきた。








「それじゃ、最後にひとつ……コレを渡しておこうかな」



なんで飴?

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