ep6『さよなら小泉先生』 好奇心は猫以外も殺す②
なんで危機感がねぇんだよコイツは
「いやそうじゃねぇだろ?このままだと破れるのはもっと別の何かじゃねぇの?」
俺の口から思わず本音が漏れる。
「ガチのこういうシチュの時ってさ、お前どうする訳?」
ほら、どうするんだよ?と俺は小泉(13)に“正しいリアクション”を促す。
「えっと……」
小泉(13)は言葉を詰まらせる。
「───────破られるのは日常の平穏……ってこと?」
それとも二人の間の友情みたいなもの?と小泉(13)はやや真剣な面持ちで俺に問いかけてきた。
「いやそっちじゃねぇよ。なんで真面目に答えようとしてんだよ。禅問答かよ」
なんかこう……もっとあるだろ?!と俺はやや焦燥感に駆られながら強めにもう一度訊いた。
てかさ、なんでマジでヤるみたいな感じになってんの?違うだろ?!
「俺が言いたいのはそうじゃなくて──────」
そう言いかけた瞬間────小泉(13)の胸を掴んでいた手のひらの先、指の腹が硬いものに触れる。
スポーツブラ越しでも分かる感触。
「……っ!!」
ビビった俺は咄嗟に動きと思考を止めた。
俺の顔が真っ赤になってるってのは自分でも自覚できた。
「えっ……なんかさ、お前……胸のトコ──────」
ちょっと硬くなってる、と俺が小さく呟くと小泉(13)も小さく声を上げた。
「えっ?」
「えっ?」
小泉(13)は状況を理解していないのか、ポカンとした様子で俺の顔を見る。
「……胸が硬くなるってそんなはず─────えっ?」
自分で自分の胸を触った小泉(13)は驚いたように声を上げた。
「───ホントだ」
鳩が豆鉄砲を喰らったような表情を浮かべる小泉(13)に俺は困惑した。
なんだこれ?何この反応?
「……自分で触ってもこんなになったこと一回も無いよ?」
なんでなんで、と小泉(13)は俺に聞いてくる。てか、どうして俺に聞くんだ。
「……なんでってそりゃあ────」
そう言いかけた俺は途端にメチャクチャ恥ずかしくなった。
感じてんじゃね?とはとてもじゃないけど口には出来なかった。
「……これって────一生このまま?ずっと硬いの?」
小泉(13)は心配そうに俺を見る。
「え、いや、こういうのってさ……時間が経ったら元に戻んじゃね?」
よく知らんけど、と俺はしどろもどろに答えた。
てか、俺だって童貞なんだよ!そこが元に戻るとか戻らないとか知ってる訳ねぇだろ!?
実際の所がどうなのかとか俺にも全然わからない。
だってさ、そうだろ?AVとか見ててもそうじゃん。開始前や終了後の女優の胸の先端の状態とか知る機会ってあんま無くね?
「え?じゃあさ……」
そう言いながら小泉(13)は学ランの下の赤シャツをたくし上げ、手を差し入れてくる。
「……っ!!」
思わず俺の口から変な声が出た。
小泉(13)の指が俺の素肌に触れる。
「えー。佐藤君だって同じだよ?」
小泉(13)の指先が俺の敏感な部分に無邪気に触れてくる。
「……男子も触ったらこんな風になるんだね?」
─────ちょっと脅かしてやろうと思っただけなのに。
なんで俺は小泉(13)に胸の先端を責められているんだろう。
──────俺が悪かったからこれ以上は勘弁してくれ、頼むから。