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ep6『さよなら小泉先生』 好奇心は猫以外も殺す①

今日から本編に戻る。

古井戸のある薄暗い小屋の中──────俺達の身体はぎこちなく重なっていた。


触れていた唇をゆっくりと離す。


鼓動が跳ねて息が出来ない。


呼吸を止めたままで小泉(13)の顔を見つめる。


「……佐藤君て─────甘い味がするんだね」


熱に浮かされたような表情で小泉(13)は小さく呟いた。


アルコールを帯びたカルピス。


「何言ってんだよ。お前もだろ」


俺ら二人とも同じモン飲んでんだからさ、と俺が言うと小泉(13)はまた少し笑った。


─────てっきり、いつもみたいに大騒ぎされると思ってたのに。


予想していたのとは違う小泉(13)のリアクションに俺は戸惑っていた。


小泉(13)を組み敷いた体勢のまま、どうしたらいいかいいかわからない俺はそっと表情を窺う。


俺の顔をじっと見つめる小泉(13)と目が合う。


その視線の意味がわからないまま俺はドキリとした。


「……何で抵抗しないんだよ?」


どうして?とだけ呟いた小泉(13)は微動だにしない。


敢えて強がってる?


この期に及んでまだ痩せ我慢してんのか?


小泉(13)の態度に無性にイラついて──────俺は少し冷静じゃなくなってたのかもしれない。


セーラー服の裾から手を差し込み、体温の高い胸をやや強めに掴んだ。


「……っ!!」


驚いたように小泉(13)が声を上げる。


ほら、嫌だろ?こういうことされんの。


嫌だって言えよ。やめてって言えよ。すぐに止めてやるんだからさ。


投げやり気味に掴んだ小泉(13)の胸は思ったより少しボリュームがあった。


「……あ!」


小泉(13)の表情が少し歪む。


お互いの心臓がドクドクと音を立てているのが伝わってくるかのような至近距離。


ほのかに柑橘系の香りが漂う。


「……なんかお前、甘い匂いがするな」


いっつも菓子食ってるからか?と胸を弄りながら何の気無しに呟くと小泉(13)が反応する。


「シーブリーズの匂い……かな?」


シトラス系のが好きだから、と小泉(13)は少し顔を赤らめて呟く。


「……恥ずかしい、けど──────」


こんなにドキドキするの初めて、と小泉(13)は荒い呼吸のまま俺を見つめてくる。


え、ちょっと待って。なんでそんなリアクション?


いつもみたいに俺に文句言ったりしないのか?


嫌だろ?こんな事されんの────────


何でされるがままになってんだよお前?


小泉(13)は潤んだ目線で俺を見上げ、小さくこう呟いた。












「………このまま心臓────破裂しちゃいそう」




女子はシーブリーズ派が多いのか?男子はGATSBY派が多い気もする。

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