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ep6『さよなら小泉先生』 『TALKING ABOUT SEX(Girl's Side)』③

前に聞いたよな、さっきのセリフ──────

「え?」


俺は何故かその言葉に───────ドキリとした。


似たような事を以前に大人の方の小泉も言ってなかっただろうか。


「……なんだそれ。意味わかんねぇよ」


俺はわざとその言葉を無視した。


なんだか怖くなった気がしたからだ。


俺の知らない小泉の一面。


大人の方の小泉にも、中学生の方の小泉にも。


当たり前なんだけど─────俺が知らない顔があるのか。


「たぶん、さっき佐藤くんが言ってたのが『正しい10代の男女交際』みたいなことなんだと思う」


だけど、と小泉(13)は続けた。


「『正しくないこと』とか────『間違ったこと』って頭では解ってても……どうしようもなくて」


好きってだけで全部突っ走っちゃうこともあるんじゃないのかなぁ、と小泉(13)は呟いた。


「はぁ!?お前の方がよっぽどロマンチストじゃねぇか」


ガードとか全然考えてねぇのな、と俺が吐き捨てると小泉(13)は少しムッとしたような表情を浮かべた。


「だってそうじゃねぇか。格ゲーやる時だってそうだし。ノーガードじゃん」


そんな無防備の考え無しだから対空で撃ち落とされるし起き上がりに連続技とか入れられるんだよ、と俺は呆れながら続けた。


「何それ!?そんなこと考えながら私と対戦してたの!?」


「ああそうだ」


間髪入れずに俺はそう答えた。


「言っただろ?お前のことは対戦に限らず他の行動も先読み出来るってさ」


ってことはさ、と俺は強調した。


「他の男に対してもノーガードでヤられ放題ってことじゃねぇのか?」


俺としては注意喚起というか─────小泉(13)の危なっかしさを心配しての忠告だったつもりなんだが───────


例のDQN二人組に限らず、世の中には飢えたヤベェ男どもがウジャウジャ居るんだからさ。


特に、巫女なんてやってるって環境だったら余計に鉄壁のディフェンスやガードの堅さが求められると思うんだよな。


だけど、小泉(13)は機嫌を損ねたようで不貞腐れたような表情で俺を見ている。


「……佐藤くんは私のことそんな風に思ってたの?」


私、誰にでも付いてく感じの軽い女子って思われてたんだ、と小泉(13)は失望とも怒りとも取れない複雑な表情を浮かべていた。


「そうじゃねぇよ」


俺もなんかちょっとムカついてたんだな。なんでか自分でもわかんねぇんだけど。


「お前が男に対して無防備すぎるっつぅか─────危機感が無さすぎって思っただけで」


俺は吐き捨てるように言った。


「男が本気になったらお前なんかのか弱い力じゃ抵抗出来ねぇんだしさ。男の怖さを知らな過ぎるんじゃね?」


「何それ!それじゃまるで私が頭空っぽのアホの子みたいな言い方じゃない!?」


小泉(13)もムキになった様子で答える。


いや、アホの子ってのは当たらずと言えども遠からずだろうがよ。なんか変わり者だし。


「そもそも……私だって変な男の人や男子には最初から近付かないし?!」


「お前が近付かなくても向こうから来ることだってあるだろうが」


俺はイライラしながら答えた。


多分だけど────昼間のこともあって無性にムシャクシャしてたんだろうな、俺。


俺は唐突に小泉(13)の手首を掴んだ。てか、細過ぎんだろ。木の枝か何かみてぇじゃねぇか。









「ほら。今だってそうじゃん。こうやって急に掴まれたら───────お前なんかの力じゃ振り解けねぇだろ?」


なんかさ、ムカついてたんだよ。理由はわかんねぇんだけどさ。

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