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ep6『さよなら小泉先生』 甘い白濁液と朱色の器

飲まなきゃやってられねぇテンションだったんだよな。

俺は盃を強引に小泉(13)に押し付け、酒を注いだ。


「俺、飲んだからさ。今度はお前な」


「ちょっ……!!え!???」


いいからホラ、飲めってwと俺は小泉(13)にそれを飲むように促した。


「でもコレって…」


なおも小泉(13)は飲むのを躊躇している。真面目か。


「ちょっとくらい酒が減ってたってヘーキだって!」


溢れたか揮発したかってぐらいにしか思われんだろ?と俺は小泉(13)の肩に手を回し、テンション高めに念押しする。


一口しか飲んでないってのに、何故か俺は完璧に酔っ払いムーブをぶちかましていた。


「……ん。わかった……けど」


小泉(13)は躊躇いがちに一・二回、盃に口を付ける。


三度目で全部飲み干し、無言のまま俺の顔を見てきた。


「……えっと。全部飲んだ、けど……」


もう酒が回ったのか、小泉(13)の頬は赤くなっている。


「……なんで急にこんなことしようと思ったの?」


「は?別に意味とかねぇし。ノリだよ。ノリ」


俺が適当に答えると小泉(13)は無言のまま小さな盃を盆に置き、中くらいのサイズの別の盃を手に取った。


「……そう。じゃあ今度は私が先に飲んでみるね」


小泉(13)は横に置いてあったカルピスウォーターのペットボトルの蓋を開け、盃に注いだ。


「御神酒って美味しくないしさ、甘いのと割ったら飲みやすくない?」


小泉(13)はカルピスが注がれた盃に更に御神酒を注いだ。


「へぇ!それ、いいかもな!」


小泉(13)は一口、二口と用心しながら盃に口を付け、三口目で一気に飲み干した。


「……あ!思ったより美味しいかも!」


小泉(13)はもう一度盃にカルピスと酒を注ぐと俺に寄越して来る。


「ね!佐藤くんも飲んでみてよ!」


おう、と答えながら俺も三口ほどで一気に飲み干した。


思った以上に甘くて飲みやすい。


「でもさ、これってカルピスと酒の割合が8:2くらいじゃね?ほぼカルピスじゃん」


俺は盆に載せられていた一番大きな盃を手に取った。


「やっぱもうちょいアルコール度数が高めでねぇとさ」


俺は大サイズの盃に酒とカルピスを同時に注いだ。


調子に乗ったせいか少し量が多い気がしたが、勢いに任せてそのまま一気に飲む。


最初の一口目で八割を流し込み、最後の二口目と三口目で全部飲み干した。


この時点で俺はかなり酒が回っていたのかもしれない。


同じ量の酒とカルピスを大きな盃に注ぐと、それを小泉(13)に渡して飲むように勧めた。


「こんくらいでも結構イケるぜ?飲んでみなってw」


小泉(13)も気が大きくなってたんだろうか。


受け取った盃に口を付けて少し飲む。


「……あ、御神酒けっこう入れちゃってるね」


そのままもう一口飲むと、三口目でグイっと一気に煽る。いい飲みっぷりじゃねぇか。


一緒に飲む機会なんて無かったから知らなかったけどさ、もしかして小泉って酒に強い体質なのか?







そうこうしてるうちに俺達は────────供えてある酒を全部飲んでしまっていた。


ま、また勝手に補充されてるだろ。知らんけどさ。

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