表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

447/1123

ep6『さよなら小泉先生』 公開処刑

最悪な状況じゃねぇか。

「気持ちは分からんでもないが─────こういった状況の場合は大人と警察に任せておくのが一番いいんじゃないのか?」


小泉の……まるで幼子を諭すかのような口調がさらに俺を苛立たせた。


確かにそうだった。


俺のやった事は単なる自己満足でしかないのか。


校舎の窓からは全校生徒が顔を覗かせ、俺と小泉を見つめていた。


公開処刑を喰らったのは俺の方だということに今更ながら気付く。


カッコつけてバイクで登場した挙句─────小泉にぶっ飛ばされて地面に転がされてんだ。


メンツもクソもないだろう。


しかも、佐々木に至ってはキッチリ録画までしているだろうな。


俺は無言のままバイクに向かった。


「……おい!?どこへ行くんだ!?」


話はまだ終わってないぞ!?と叫ぶ小泉に対し、俺は振り返らずにこう答えた。


「またゴチャゴチャうるさく言われそうだからな。とりまバイク置いてくるわ」


多分、また校長室に呼び出しだろうな────────


学年主任と生徒指導の教師、教頭と担任の加賀も揃い踏みだろう。


今回は作文用紙何枚分の反省文を書かなきゃなんねぇんだろうな。


俺は最悪な気分を引き摺りながらバイクに跨り、エンジンを掛けた。


何もかもがめんどくせぇ。


バイクを走らせながら俺は───────自己嫌悪に陥っていた。


俺は何をやってるんだろう。


何度も時間は戻ってるんだ。


前とは違う世界線。


『今回の』世界線の中であの二人組がどんな目的で何をしていたか、なんて俺は殆ど知らなかったんじゃないのか。


確証も得られていないのに────────


確かに、俺が憶測と怒りの感情だけで独断専行してしまったことの非は─────認めざるを得なかった。


最低でも小泉に相談なり連絡なりをするべきだったかもしれない。


だけど。


俺はアイツらがどうしても許せなかった。


何度時間を戻ったとしても、アイツらは弱い立場の女子小中学生を狙って来るだろう。


目の前にいる奴らを見て見ぬふりして見逃すことなんて─────俺には出来なかったんだ。


概史の家の近くまで着いたので、エンジンを切る。


ゆっくりと静かにバイクを車庫に入れ、鍵をこっそりとキーボックスに戻した。


フーミンは寝てるのか、それとも不在なのか。


シンと静まり返った概史宅を後にし、大通りに出た辺りで着信音が鳴った。






佐々木からだった。



録画されたのをネタにされそうだな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ