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ep6『さよなら小泉先生』 ↓↙←↙→+BorD

何度繰り返しても慣れねぇな。

胃の中が空になってもなお、焼けるような痛みと苦しさが引かなかった。


呼吸が上手くできない。


手洗い場で口を濯ぎ、顔を洗う。


廊下に出て水飲み機の冷たい水を飲んだ。


少し落ち着いたので、ゆっくりと階段を歩いて佐々木の所に戻った。


「一体どうしたの!?」


佐々木が心配そうに俺の顔を見ている。


「……すまんな、驚かせちまって」


ただの二日酔いだ、と俺が言うと佐々木は怪訝そうな表情を浮かべたまま首を傾げた。


「……何かあるのね?まあ、詮索はしないけれど───────」


佐々木がいくら名探偵だって言ってもさ、俺が呪いの力で時間を戻ってるとは思いもしないだろ?


説明したところで信じて貰えないだろうし──────


俺は紙袋に残ったサンドイッチを見た。


せっかくのサンドイッチなのに今は食えそうもない。


家の冷蔵庫に入れておいて、夜食にでもするか。


俺は放り投げた弁当の包みと紙袋を持つと、佐々木にこう言った。


「俺、体調悪ィから午後からバックれるわw」


そう、と佐々木は小さく返事した。


佐々木なりに何かを察したのかもしれないな、とも思った。


ところでさ、と俺はなんでもない様子を装って佐々木に訊ねた。


「────今の時間からここでスタンバイしてるって事はさ、例の奴らって真っ昼間から徘徊してんの?」


まあね、と佐々木は双眼鏡で窓の外を見ながら呟く。


「放課後、下校中の女子生徒を物色してから離れた場所で声を掛けて来るらしいわ」


体育の時間にグラウンド横でこちらを見ていた事もあるみたい、と佐々木は付け加えた。


なるほど、悪質じゃねぇか。


アイツらのうち片方は大学生だったっけ?


大学ってトコはこんな時間から遊んでられるほど暇なのか?


そんなに女子中学生の物色に必死なほど切羽詰まってんのかよ?


それとも─────ほかにも“何か”あるのか?


じゃあな、と俺は軽く手を振りながらその場を後にする。


佐々木は無言のまま双眼鏡で校舎周辺を見張っていた。






教室に戻った俺は鞄に弁当と紙袋を入れ、スマホを取り出して概史の番号に掛けた。

小学校もこの時間は昼休憩だろうしな。

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