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ep6『さよなら小泉先生』 青春はいつも100メガショック

台パンとかマジ勘弁。

翌日の放課後。


小泉(13)はワクワクした様子で俺を待っていた。


“市街地にある繁華街のゲーセンに一緒に行く”という約束だった。


古くからある“知る人ぞ知る”といった穴場みたいな場所だ。(俺は佑ニーサンに教えてもらった)


「佐藤くんと一緒にどこか行くのって初めてだね!」


お菓子もジュースも持って来てるからね、と小泉はリュック一杯に詰められた食料を俺に見せる。


「大袈裟だなぁ。遠足やハイキングでもねぇのに」


呆れながら俺がそう言うと、小泉(13)は嬉しそうに笑った。


「えー!だって、2D格ゲーやレトロゲーが多めに置いてあるゲーセンって初めてだし!」


いつも友達と行くのってプリクラやクレーンゲームばっかりのゲーセンだったから、と小泉(13)ははしゃいでみせる。


毎回思うんだが、これが本当にあの小泉だろうか?


大人の小泉とはえらく違うリアクションじゃねぇか。


この小泉(13)が7年後に俺の知ってる小泉に成長するのか?


何度考えても納得行かないんだが。


俺の困惑を他所に、小泉(13)は生徒手帳に挟まれた時刻表を取り出す。


「バスで行く?それとも電車?」


この辺は市街地からかなり離れた郊外のエリアになる。


20年だか25年だか前にあった大規模合併の際に、一つの大きな市として統合されただけの田舎だ。


つまり、“市”としては扱われているが、小規模な地方都市っぽい市街地エリアとは真逆な不便極まりないエリアに住んでんだな、俺達は。


俺は小泉(13)の持っている時刻表を覗き込んだ。


通常は1時間に一本しかない電車だが、学生が下校する夕方の時間帯は少し本数が増えてんだよな。


「バスって結構遠回りだし─────電車の方が早いんじゃね?」


俺がそう言うと小泉(13)は頷いた。


「そうだね!そうしよう!」


俺や水森がたまに立ち寄ってる廃駅から少し離れた場所にまだ稼働中の駅がある。


こっちの路線はまだ生きているとは言え、かなり経営状況は厳しそうだ。


バスの方はまだ病院通いの老人の需要があるから大丈夫そうなんだが─────────


「たまには電車にも乗ってやんねぇとな。あんまり客が居ねぇとこっちまで廃線にされちまう」


俺が独り言のように呟くと小泉(13)は意外そうな表情を浮かべた。


「……佐藤くんってさ、実はめっちゃ優しいの?」


「何だよそれ。しょーもないコト言ってねぇでさ、ホラ、とっとと行くぞ?」


俺が小屋のドアを開け、外に出た瞬間だった。









─────────俺の後ろを歩いていた筈の小泉(13)の姿が一瞬のうちに消えていた。


は?

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