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ep6『さよなら小泉先生』 幽霊の正体

身近に居るなんて考えたらなんかヤベェよな。

人のエネルギーを吸い取る吸血鬼か。


初めて知る概念だった。


「まあ、どちらかと言うと“遠隔操作型スタンドの生霊“ではなく”近距離パワータイプの餓鬼“と言った方がイメージしやすいかもな」


小泉はパラパラと本のページを捲りながら続けた。


例外的にネット越しでもエネルギーを吸い取っていくタイプも居るようだが、と小泉は付け加える。


「エナジーヴァンパイアの特性の発露は本人の資質や性格によるものが大きいと言える。本能的に他者から何かを”与えて貰って当然“といった依存的な気質の者に多いかもな」


なるほど、生霊にも遠距離操作型やら近距離パワータイプやら居るんだな。てか、マジでなんだよこれ?


そこまで考えて俺はふと疑問を抱く。


俺が古井戸の小屋で見た小泉は”ヴァンパイア“って感じでは無さそうだったが──────


かと言って”生霊“とも違う気もする。


「なあ、センセェ」


俺は小さく手を上げて小泉に質問する。


「例えばだけどさ。今は大人の人物が子どもの姿で出てくるってのはなんなんだ?生霊?」


あ、死んでなくてまだ生きてる人間だとしてだぜ?と俺は念押しして訊ねた。


ふむ、と小泉は頷いた。


「まだ生きている人間が過去の姿で目撃された場合─────それは”残留思念“という存在かもしれんな」


「残留思念?」


またしても聴き慣れない単語に対し、俺は思わず聞き返す。


そうだ、と小泉は続けた。


「人間の強い感情や思考がそのままその場所に残っている状態であると言えるな。厳密に言えば生霊とはまた別のカテゴリだが─────」


なるほど、残留思念か。


確かに生霊だのエナジーヴァンパイアだとか言うのよりこっちの方が古井戸で見た中学生小泉に該当している気もする。


で、と小泉は俺の方に向き直る。


「どこで見たんだ?……その幽霊とやらを?」


小泉は少し怪訝そうな表情で俺に訊いてくる。


そうだよな。普段俺はこんな事をわざわざ聞きにきたりしねぇからな。


「えっと……その、センセェんとこの神社で」


そう言いかけた瞬間、小泉がブチ切れた。


「は!?神社には近付くなとあれほど言っただろうが!?」


何しに来たんだ!?と物凄い剣幕で怒鳴る小泉に気圧され、俺は何も言えなくなってしまう。


「……あ、いやその、そうじゃなくて」


今まで見たことがないくらいの勢いで小泉は激昂していた。


「巫山戯るなよ!?佐藤、お前は暫くここにも神社にも絶対来るな!」


なんでそんなに怒ってるんだろう。







小泉に背中を押され、美術準備室を追い出された俺は途方に暮れた。



いろんな種類の幽霊だのモンスターが居るんだな。

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