ep6『さよなら小泉先生』 血筋と属性
同じ名前?
え?
俺はもう一度小泉(親戚)を凝視した。
小泉鏡花って名乗ったのか?
同姓同名の親戚とかってあり得るのか?
小泉(親戚)は二つに分けた髪を耳の下辺りで結んでいる。
いつもの小泉は赤ジャージ上下、髪は適当に一つに結んでいるだけだが─────
見た目も似ていて名前が同じ?
なんだか事情がよくわからないが、とりあえず俺も名乗ることにした。
「俺は佐藤ってんだ。アンタと同じ2年だ。学校は────」
そこまで言いかけてふと、俺はあることに気付く。
小泉(親戚)の着ている制服も校章もウチの学校のもので間違いなかった。
こんな女子、一回も学校で見たことがない。
同じ学年で小泉姓だったら絶対わかるはずじゃねぇか。
どういうことだ?
「?????」
俺は小泉の座っている周囲を見渡した。
菓子やペットボトル、漫画雑誌が置かれている。
それはともかくコイツはここで何やってるんだ?
「……ああ、これ?」
俺の視線に気付くと小泉(親戚)は少し笑ってみせた。
「今日発売のジャンプ買って来たから読もうと思って」
うちの親、厳しいからここで隠れて読んでるの、と小泉は少し寂しそうに呟いた。
「そっか。だからこんなとこに居たんだな」
俺は頷いた。
小泉の親戚だけあって漫画好きなのは同じなんだな。
ヲタク属性なのは血筋なんだろう。
────しかし。
小泉の持っているジャンプを見た俺は、ある違和感に気付く。
何かがおかしい─────
その表紙には『2013年9月23日号』の文字が踊っていた。
2013年???