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ep5. 『死と処女(おとめ)』 朝のエージェントとシークレットリスト

月曜の朝ってのは疲れるよな。

翌日。


朝のHR開始前の時間に俺が登校するってのは滅多に無いんだが。


佐々木に指定された通り、保健室に向かう。


アイツこんな時間にもう来てんのか?と思いつつも控えめにドアをノックする。


「思ったより早かったわね」


佐々木は保健室の鍵を開け、俺を中に招き入れてくれた。


「お前が指定したんだろ、なんでこんな時間に……」


文句を言う俺を軽く受け流し、佐々木は俺に椅子を差し出した。


「まあ座って」


佐々木の方は相変わらず、保健室の養護教諭が座るデスクに陣取っている。


さながら“保健室の主”としてこの場所に君臨しているかのようだ。強キャラっぽく見えるのが不思議だよな。


影のフィクサーっぷりも板についているように思えた。


「昼休憩だと夢野さんと一緒にお弁当を食べるでしょう?」


だからこの時間がいいと思って、と佐々木は余裕ありげに俺を見た。


佐々木のこの表情。


一体、何をどこまで掴んでやがる?


なんとなく俺は身構えた。


「早速だけど手短に話して貰おうか」


遅刻すると小泉が五月蝿いんでな、と俺が切り出すと待ってましたと言わんばかりに佐々木の眼光が鋭くなった。


「そうね。あまり悠長にもしてられないでしょうから─────」


佐々木はそう言うと一冊のファイルをデスクの上に置いた。


「これはここ最近の保健室の利用記録なのだけれど─────」


「利用記録?」


そう、と佐々木は頷いた。


「先日話した通り、この学校には常駐の保健の先生は居ないわ。だから、こうして臨時的な運用になっているの」


だけど、と佐々木は続けた。


「今はわたしがこうして保健室を独占しているような格好になっているけど─────体調不良者が出た場合はまた別で」


養護教諭不在の状態で保健室のベッドで横になる生徒もたまに居るわ、と佐々木はファイルをパラパラと捲った。


ふむ、と俺は頷いた。


「そうだよな。怪我とかは救急箱で対応して、重度の生徒は早退させるって話だろうけど─────」


軽い体調不良や腹痛の生徒はしばらく横にさせて様子見した方がいい場合もあるだろうしな、と俺は相槌を打った。


なんら不思議はない、通常の対応だろう。


「それがどうかしたのか?」


俺が尋ねると、佐々木はファイルにある書類─────リストのある箇所を指し示した。


「夢野くるみ……彼女、ある時期に立て続けに保健室を利用してるわね」


俺はドキリとした。


まさかとは思うが─────







夢野の妊娠が佐々木にバレてしまっている─────?だけど、どうやってそれを知ったんだ?



どうやってそんな情報を掴んだ?

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