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ep5. 『死と処女(おとめ)』 TALKING ABOUT SEX④

どっちなんだよ?

それもわからない、と小泉は自信なさげに首を小さく振った。


「は!?」


“わからない?”


ヤッたかどうかすらわからんとか、そんなハズなくね?


いやいやいや……


おかし過ぎるだろ?


自分でヤられたかヤられてないかくらいわかるんじゃねぇのか?!


そもそもどういう状況だよ!?


でも“好きだった”って─────?


「意味わかんねぇ。センセェ、夢でも見てたんじゃねぇの?」


要領を得ない小泉の話は俺を苛立たせた。


そうかもな、と小泉は自嘲気味に言った。


いや、『そうかもな』じゃねぇだろ。


やっぱりどう考えても酒か薬でも盛られてるじゃねぇか。


最低だな。


意味わからんし悪質過ぎる。


そもそも、陰キャの小泉なんかを狙ってきてる時点で相手の男は相当タチが悪い人間だろう。


いつかの諸星キクコみたいに─────


DQNにでも拉致られてしまったんだろうか?


俺は居た堪れない気持ちになった。


だけど─────


『相手の男のことが好き?』


意味がわからなさ過ぎる。


目の前の小泉が理解不能な宇宙人のようにすら思えてきた。


なんでそんな風に言える?


しかし、俺はふと以前の小泉の様子を思い出した。


地下牢で俺とセックスするのって死に物狂いで拒絶して来たよな?


それに、小泉の部屋にあった謎のアイテム─────


膣内洗浄用だとか言っていたが、怖いとか言って開封すらしてなかったじゃねぇか?


『身体の中に入れるのが怖い』みたいな事を言ってたよな?


今までの言動から察するに、小泉ってまだ処女なんじゃねぇの?


だよな?


絶対そうだよな?


ともかく、だ。


処女か非処女かはさておき─────


小泉に何らかのちょっかいを出してその気にさせて目の前から居なくなった男が居るってのは確実なんだろう。


その上、小泉は妊娠しちまった夢野に対して同情的なスタンスですらある。


俺からしたらそんな無責任な事をやらかしたってぇのはなんか納得行かないんだが─────


「女子ってのはそういうモンなのか?」


俺は呆れたように呟いた。


「相手が好きだとか俺からしたらどうでもいいんだけどさ。そんな理由で自分の身体を危険に晒すのかよ?」


そういうのって間違ってね?と俺は強調した。


「正しいか間違ってるかで言えば─────多分間違ってるんだろう」


小泉は珍しく弱気な表情を浮かべた。


それに、と俺は続けた。


「よく考えたら女子の責任だけでもねぇよな?男子の方にも責任あんだろ?」


避妊とかは特に男側が主導しなきゃなんねぇだろうが、という俺の言葉に小泉は頷いた。


「そうだな」


けど、と小泉は俺に反論するように続けた。








「人を好きになるってのは理屈じゃないからな。時に間違うこともあるだろう?」


いつもの小泉らしくねぇな?

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