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ep5. 『死と処女(おとめ)』 性癖とシチュの指定

はいはい、その辺は好きにしてくれよ。

なるほどな。


俺はうっすら納得した。


『俺と同じシャンプーを使いたくない』か


まあ、解らんでもない。


時間が戻るからノーカンとは言え、教え子の男子生徒の家で同じシャンプー、同じボディソープを使うなんて小泉からしたら許せないんだろうな。


あと、小泉が薄々察してる通り、俺ん家のシャンプーはドラッグストアの一番安いヤツだ。


石鹸に至ってはどっかから貰った粗品か何かの普通の固形石鹸だしな。


女ってのはこういうのすごく気にすんだろ?


まあ、小泉は自宅で風呂に入って来るってのが一番いいだろうな。


俺は車から降り、車のドアを閉めた。


「じゃあセンセェ、来る時に巫女の着物で来てよ」


「は?」


小泉が怪訝そうな顔をする。


「……これは儀式だから……か?」


「そうそう、プライベートと儀式的なコトって分けたいじゃん?一応ね?」


俺は適当に口から出まかせを言った。


まあ嘘なんだけどさ。


なんとなくだけどいつものジャージ上下で来られてもテンション下がるじゃん?


“女教師”みたいなシチュがいいっていう方向性もあるのかもしれないけどさ。


俺はそうじゃねぇんだよな。いっつも見てるし、ジャージは無いわ。マジで。


「あ、そうそう」


俺は思い出したように付け足した。


「センセェ、オタクならコスプレ服とか持ってる?チャイナ服みたいなの持ってねぇの?」


なんならこの前のメイド服でもいいぜ、と俺は追加でリクエストした。


「お前な……」


小泉は呆れたように呟いた。


「今回のコレはそういうオプションは無いんだが?」


「あ、じゃあさ、普通のリクルートスーツ的なの一着くらい持ってないの?タイトスカートでさ、“ザ・女教師”みたいな感じで頼む」


「私の部屋を見ただろう。もし持ってたとしてもすぐに見つけられると思うか?」


小泉が斜め上のリアクションを返してくる。


いや、確かにあの汚部屋の一角から何かを見つけようとしたら相当無理ゲーなのは今朝、間近で確認したけれども。


「何かを部屋から発掘してもらえるなら女子高生時代の制服でもいいけどな」


「いや、流石に制服は……」


小泉は呆れたように黙り込んだ。


「とにかく、さっきのコスチュームのうち、どれかで頼むわ」


複数あってもいいからよ、と俺は念押しする。


「おい佐藤、ふざけるな。こっちは真剣なんだぞ」


小泉がこちらを見ながら文句を言うが、その表情には明らかに困惑が見て取れた。


ふざけてねぇだろ?寧ろ真剣だからこそ言ってんだよ、と俺は尤もらしく小泉に反論する。









「男の俺の方がその気になれなきゃ成立しないんだからさ。少しは協力してよ、センセェ」




ま、冗談なんだけどさ。

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