ep5. 『死と処女(おとめ)』 “力を抜いて挿入して下さい”
なんだよコレ……
生理を早く終わらせる???
どういうこと??
生理って血が出るんだろ?
早く終わらせる???
コレで??
俺は小泉の顔を見た。
「なんでこれで早く終わるんだ……?」
透明なチューペットみたいな物体。
これを入れる?
身体にか?え?
いや、先端の方だけだろうけど……
小泉は呆れながら何かを探す作業に戻った。
「取説に書いてあるだろう?よく読め」
俺はもう一度取説に目を通す。
『生理の終わり頃あと2~3日というときは、膣内に付着した残血が少量ずつ出ているだけの状態です。当商品で膣内洗浄をすると、残血をすっきり洗い流すので生理期間を短くすることができます』
残った血を洗い流す?
なるほど理屈は解った……ような気がした。
でも正直ピンと来なかった。
俺は更に取説を読む。
・いつでもどこでも簡単洗浄
・プール、海水浴のあとに
・災害に備えて防災用品として準備!
・膣内は弱酸性に保たれています。膣内は弱酸性の洗浄液でやさしくケアしましょう!
・終わりかけの生理をやさしく洗浄
・デリケートゾーンをやさしくケア!
・初めての人にも安心!
・SEXのあとに!
え?
ヤッた後も使ったりする物なのか??
でも小泉は処女じゃねぇの?
俺はますます混乱した。
結局、どういう用途なんだコレは?
こんな品物が存在することすら俺は今の今まで知らなかった。
概史やマコトとエロ本やAV、エロサイトとか見て遊んだりしてたけど、こんなアイテムは見た事も聞いた事もなかった。
え?
世の中の女ってこういうの使ってるのか?
毎月???
めっちゃ大変じゃねぇか……
毎回こんなメンテナンスを?
薄っぺらい取説に恐ろしいほどの情報量が詰まっている気がした。
探し物が見つかったようで小泉が振り向く。
「お!あったあった!」
俺の視線に気付いた小泉は数回、まばたきをする。
「どうした、佐藤?」
「いや……なんか悪ィ、勝手に開けたりして……」
俺は罪悪感で一杯になった。
いくらガサツな小泉とは言え、プライベートの極みとも言えるこんなセンシティブな品物を他人、ましてや異性の俺に触られたくなんかなかったよな……
言うなればタンスの引き出しを開けて下着類を漁る以上の無礼な行為に思えた。
狼狽した俺に小泉は意外な言葉を掛けてきた。
「お前な……もう要らんからそれ、持って帰ってくれ」
「は?」
「元々、使う気はなかったんだが開封されてしまってはどうしようもない。お前が使えば良かろう」
「は!???」
いやいやいや………
俺にどう使えって言うんだよ……
「痔の時とか?いいんじゃないか?」
小泉が適当な提案を投げやりに寄越してくる。
意味わかんねぇよ。
俺のケツにぶち込めっていうのか?冗談じゃねぇ。
これを使えと?!




