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ep5. 『死と処女(おとめ)』 キミが溢れてる

小泉、毎日こんなもん食ってるのか?


「じゃあキッチン借りていいか?」


俺は自分で何か作る事にした。


キッチンの戸棚を開けると、非常食?であろうか。


レトルトの白米のパックとインスタントの味噌汁が入っている。


勿体ねぇな。これ食えばいいのに。


小さめのフライパンを見つけた俺はまず、卵で目玉焼きを焼いた。


次にニンジンの皮を剥き適当に切り、レンジで砂糖と塩、サラダオイルと共に加熱する。


コレでニンジンの簡易グラッセになる。


ジャガイモは皮を剥かずに水洗いし、ラップで包んで2分レンジで加熱して皮を手で剥く。


潰してマヨネーズと塩コショウで和えて簡易ポテトサラダにした。


キュウリを切り、さっき作った物と一緒に皿に添える。


こうして『ニンジンのグラッセとポテトサラダ、目玉焼きと付け合わせのキュウリ』の皿が完成した。


いつも思うんだがパックの白米は量が少な過ぎる。


2パック分でやっと通常の茶碗一杯分って感じがしたので4パック加熱した。


インスタントの味噌汁も作る。


なんやかんやで白米、味噌汁、目玉焼きの朝食らしいメニューが出来上がった。


一応二人分作ってある。


「センセェも食べたら?あれだけじゃ足りんだろ?」


小泉に声を掛け、配膳して再び朝食を食べ始める。


「ん……じゃあ……いただきます」


小泉は何やら警戒心マックスの状態で食べている。


いや、嫌なら無理に食わなくてもいいんだが。


俺が二人分食べてもいいんだし。


小泉は恐る恐るニンジンを口に運ぶ。


「………」


「どう?センセェ?」


俺も恐る恐る感想を聞く。


誰かに料理を食わせるなんて初めてだからな。


ま、料理って言えるほどのモンでもねぇんだけどさ。


「………え……普通に美味しいんだが……」


小泉が困惑したように答える。


「いや、それなら良かったじゃねぇか」


続いて小泉は目玉焼きに箸を伸ばす。


「………」


箸で突くとトロリと黄身が溢れて出てくる。


俺は半熟気味な焼き加減が好きだからいつもこの硬さなんだが。


小泉は違う好みだろうか。


俺はチラリと小泉の顔を見た。


「いつも火が通った硬めの目玉焼きしか食べたことなかった……」


けど、と小泉は俺の顔をまじまじと見つめる。


「半熟のも美味いんだな」


小泉的にはオッケーのようなので俺は少し安心した。


ん?


てか、なんで俺は早朝から小泉に朝飯を作ってやってるんだろう。


普通逆じゃね?


意味わかんねぇな、と思いつつ俺は白米をかき込んだ。


しかし、誰かと一緒に朝飯を食うなんて爺さんが生きてる時以来だった。





こういう朝食もたまには悪くねぇかもな、と俺は少し思った。

あ、刻んだニンジンをポテトサラダに混ぜたらよかった…

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