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ep5. 『死と処女(おとめ)』 甘い果実とミルク

そういえば腹減ったもんな。

俺が社務所に行って暫く待っていると、ジャージに着替えた小泉がやって来た。


代わり映えのしない、いつものエンジ色のジャージ上下である。


「さて、朝食にするとするか」


小泉が小さなキッチンに立ち、いそいそと支度を始める。


キッチンと言っても、事務所やオフィスにあるような給湯スペースのような簡易なものだった。


横には小さい冷蔵庫、その上にはレンジが置かれている。


おそらく普段は客に茶を出す程度の用途にしか使われて無いのだろうと思われた。


まともな朝食は久しぶりだな……と思っていた俺は出された物を見て驚愕する。


「は!??なんだよコレ!?」


目の前に置かれたのはシリアルが入った器と牛乳の紙パックのみだった。


「何って……フルーツグラノーラだが?」


好き嫌いはしちゃいかんだろう、と言いいつつ小泉が先に食べ始める。


いやいやいや………


仮にも神社だろ?ここ?


普通に“神社で朝食”っつったら和食が出て来ると思うじゃねーか?


白米に味噌汁、納豆や生卵、鮭の塩焼きや海苔とか……


「なんでグラノーラなんだよ!?」


「栄養素が完璧に摂れるだろうが。何か不服か?」


バリボリと音を立てて小泉がグラノーラを食べている。


いや、不服って訳じゃないんだけどさ……


俺も牛乳を掛け、グラノーラを食べる。


「いただきます……」


口の中でバリボリと音を立てつつ大きな塊を噛む。


ドライフルーツは甘くて冷たい牛乳に良く合う。


美味いか美味くないかって言ったら美味いんだけどさ……


なんだか朝食というよりおやつ系の物を食べている感じがして、腹が膨れる気がしなかった。


ご馳走様、と手を合わせて小泉が食べ終わる。


「え?コレでおしまい?」


そうだが?と小泉は怪訝そうな顔をする。


いやいやいや………


正直、俺には全く足りてない量だった。


俺はグラノーラが入っている袋を見た。


『お徳用!たっぷり800g』と書いてある。


しかし、コレを丸々一袋完食したとしても満腹になる気がしなかった。


小泉はいつもこんな物を食べてるのか?


俺は立ち上がり、冷蔵庫を勝手に開けた。


中には野菜類と卵がポツンと入れられていた。


「母屋の冷蔵庫に入りきらない食材か、地鎮祭用のお供えの野菜の余ったものしか無いぞ」


小泉が後ろから覗き込む。


卵とニンジン、ジャガイモに胡瓜、カボチャ……


「これ、使っていいのか?」


しばらく考えてから俺は口を開く。


「食べたいなら好きにしていいが……何か作れるのか?」




何言ってるんだ?これだけありゃまともな朝飯になるじゃねぇか。

小泉もたまには自分で作れよ…

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