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ep5. 『死と処女(おとめ)』 合法的に女を抱き放題のポジション

やっと本題に入れた。

「ああ、そういう事か」


小泉は納得したように膝を打つ。


いや、今頃気付いたのかよ。


「確かにそれもあるが」


小泉は何か引っかかるとでも言いたげに俺を見る。


「それより、気になったのはその前の話だ」


その前って?と俺は小泉に聞き返す。


「さっき、“別の世界線のお前が怒っていた”と言ったな?」


何かそこが少し不可解な気がしてな、と小泉は頭を掻く。


「どう不可解だって言うんだよ?」


大有りだ、と小泉は俺を指差す。


「例の文庫本……『真夏の夜の爪』『真夏と昼の夢』だったな」


あれを見る限りでは今のお前とあの世界線のお前には大差がない、と小泉は断言した。


「前にも言ったと思うが学ランが標準丈か短ランか、ぐらいの差しか無いように私には思える」


俺は黙った。


そう言われてもピンと来ない。


つまりだ、と小泉は考え込むような仕草を見せた。


「雪城マコトを好きだった世界線のお前が諸星キクコを暴行するとは到底思えない。寧ろそんな事は絶対出来ないような人種のはずだ」


そうだろう?と小泉は俺の顔を見る。


「そう言われても……」


じゃあ、あれは誰だったんだよ。


別の世界線の俺じゃ無いとしたら………


今ここに居る俺なのか????


俺はますます解らなくなった。


違う違う、と小泉は首を振る。


「お前も別の世界線のお前も、誰かを強◯なんて出来やしない。そうじゃないのか?」


いや。


どうしてそんなことが言えるんだ?


てか、ついこの前お前を強◯しようとしていたが?


もう忘れたのか?


「センセェは随分と俺を信じてくれちゃってるんだな」


小泉が俺の何を知ってるって言うんだ?


けど。


確かに、今の俺に諸星キクコをあんな風に暴行できるかって言われたら絶対に出来ねぇ。


生意気でムカつく部分もあるが、御月の大事な彼女なんだぞ?


御月が手を出さずに大切にしてるの知ってて、そんなことなんて出来ねぇよ。


そりゃ前回はちょっと色々あったけどさ。


リセットするにはああするしか無かったんだよ。


あれ?


じゃあ『夢の中のもう一人の俺』には何か事情があった?


いや、わざとゴム無しでやるような理由なんてあるか?


考えれば考えるほど解らない。


「前から疑問に思ってたんだがな」


小泉は目の前に置いてあった飲みかけのペットボトルの麦茶を開けて飲む。


てか、それ飲んで大丈夫なやつか?


しかし汚い部屋だな。部屋中いろんなものが散乱しすぎだろう。


「佐藤、お前は行為中の意識も記憶も無いんだよな?」


「まあ、覚えてないからこそ童貞なんだろうがよ」


今更何を確認してくるんだよコイツは。


そこも引っ掛かって居たんだ、と小泉は頷く。


「そもそも意識が無ければセッ◯ス出来ないだろう?じゃあ、その意識や記憶って誰が持ってるんだ?」


いきなりそんな事言われても知らねぇし。


これは仮説だが、と小泉は前置きしてから話し出した。







「今までの全ての行為中の記憶と意識を持っている『もう一人のお前』が居るんじゃないのか?』








は!?何それ!?ズルくね?!良いとこ取りじゃねぇか!?

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