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ep4. 「暴かれた世界」 半裸の密室 その④

次々と後出しされてるよな、毎回。

は?


呪いが強くなっていく?


「どういう事だよ?」


てか、ここ最近って意味のわかんねぇ事のオンパレードだよな。


逆に納得できる事、当たり前の事の方が少ない位じゃねぇか。


要するに、だ、と小泉は爪でトントンとハンドルを弾く。


「ここからが本番という事だ」


「こっからが本番?じゃあ今までのってなんだったんだよ?」


俺の問いに対し小泉はとんでもない返答をよこして来やがった。


「チュートリアルだよ。ここまでは」


は?


長くね?!


呪いの発現や説明からの花園リセ・諸星キクコとの出来事やさっきの地底湖や座敷牢の一件も含めてか?


「いやいや、長すぎんだろチュートリアルがよ」


ゲームだとしたら既に破綻してるんじゃねぇか?


どう考えてもゲームバランス悪すぎだろうがよ。


「クソゲー過ぎね?」


まあな、と小泉は頷きつつ思い出したようにカーステレオのスイッチを入れる。


余計なことすんなよ。またあのキンキンした声のアニソンか?


「なあセンセェ、もうちょっとマシな選曲出来ねぇの?」


小泉は黙ってボタンを何度か押す。


車内に流れて来たのは『レットイットビー』だった。


ビートルズか?


洋楽はそんなに詳しくねぇんだ。


「意外だな。センセェがこんなの聴くの」


アニソンしか聴かないと思っていたので意表を突かれた気がした。


さっきは“マシな曲”をリクエストしたが、別にキンキン声じゃなけりゃ何でもよかったんだ。


アニメの主題歌や劇中歌でも普通のアーティストの曲とかあるだろ?


そういうのを流してくるかと思ってたんだよな。


俺は黙って暫くこの曲を聴いていた。


意味はわからない。


でも、不思議と落ち着く気がした。


ビートルズって音楽の教科書で見た程度だったけど、こういうクラシックみてぇな曲もたまにはいいもんだな。


「死んだ祖父の影響でな。たまに聴きたくなるんだ」


センセェも爺さんの影響受けてるんだな。


俺も生活の全部、爺さん婆さんの影響がデカいんだけどさ。


俺はそこまで考えてふと、何となくわかった気がした。


俺が愛されてたとかそんな事はまだピンと来ない。


だけど。


俺の中にある考え方や暮らし方、多分生き方の全部は爺さん婆さん、母親から受け継いでるんだな。


仏壇に手を合わせるのも。生きてく上で俺の考え方の基準になるもの全部。


爺さん婆さんは死んだし、母親も助けられるかどうかなんてわからない。


けど、俺の中には“ 何か” が確かに受け継がれてるんだな。


小泉の言いたい事は半分くらいは解った気がした。


やるしかねぇんだな。


俺がちゃんとしなきゃ母親を助けられない。


その為にはこれからも小泉の力を借りなきゃいけねぇ。


しかし不意に俺は座敷牢で小泉に滅茶苦茶やってしまった事を思い出してしまった。


ムチャクチャどころじゃねぇな。


犯そうとしたし殺そうとしてたもんな。


ここまでやらかしたのに、それに対しては何で小泉は怒らないんだろう。


「なあセンセェ、俺のこと怒ってねぇの?」


さっきの事さ、と俺が続けようとした言葉に被せるように小泉が反応する。


「さっきの事って?イロイロとやらかし過ぎてどれの事を言ってるのか…」


ん?


まさかとは思うけど、小泉はそうと認識してなかったって事は無いよな?









「さっきの座敷牢でさ、センセェの事を犯そうとしたし殺そうとしてたんだぜ、俺」


もしかして気付いてなかった?

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