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ep4. 「暴かれた世界」 ジッポライターとジャックナイフ

壊すって発想がそもそもヤベェ。

は?何言ってんだ?


「壊すって……そんなんいいのかよ?」


まだ周辺全部を調べ終わった訳じゃないんだ。


近辺をもう少し見て回ってからでもいいんじゃないのか?


小泉は斧を片手にもう一度建物内に入っていく。


「そんなモンどっから持ってきたんだよ?」


「納屋にあったのを持ってきた」


小泉は平然と答えると床の位置を見定める。


おいおい、マジでぶっ壊すのか?


小泉がそのまま勢いよく斧を振り下ろすと、乾いた音を立てて床板の破片が周囲に飛び散った。


無表情のままで斧を振り下ろす小泉の様子がなんだか恐ろしいものに思えた。


数回の打撃で床板には大きな穴が空き、中が見えた。


暗くて床下の全体は見えないが、小さな川のような水の流れがあるようだった。


「下に降りるぞ」


小泉は率先して床下に潜り込む。


マジか。


マジでこん中に入んのか?


仕方がないので俺も小泉の後に続いて床下に降りる。


周囲は暗くてよく見えない。


ポケットからライターを取り出して火を付ける。


床下は思った以上に深く広い空間だった。


そしてこの空間は通路のようになっているようだった。


「巨大な地下空間か。ますます何かありそうだな」


小泉は確信を得たように頷く。


いやいやいや、なんだよこれ。


戦時中にあったっていう防空壕?地下シェルター的なものなのか?


だとしたらこういった物が残ってても不思議ではないかもしれないが。


「ガチでヤベェやつじゃん。崩れたりしないだろうな?」


地下空間の地面には水が流れているようだった。


「湧き水か何かあるんじゃないのか?」


行ってみるぞ、と小泉はドンドンと歩いて行く。


「おいおい、水が流れてるんなら川上に行ってみるのがセオリーじゃねぇの?」


なんで川下に向かって行こうとするんだよ、と俺は精一杯の抵抗をしてみせる。


しかし小泉の歩く速度は変わらなかった。


「おいおい、ライターを持ってんのは俺だからさ。俺が先に行くわ」


小泉にばっかりいいカッコはさせられなかった。


俺と小泉はしばらく歩く。


地下空間内は妙な匂いが充満していた。


ツンと鼻を突くような酸っぱい匂い、とでも言えばいいのだろうか。


どこか病院の匂いのようにも思える。


奇妙な気配が漂っているようにも思えた。


神社の本殿からかなり離れた距離に来たように思う。


俺と小泉は無言のまま歩いていた。


最初は”神社の下になんかあるぞ?“的な認識だった。


でもそれどころじゃねぇ。


これって結構大掛かりな『何か』があるんじゃないのか?


埋蔵金だの油田だのっていうポジティブなものじゃねぇって事だけは理解できた。


さっきから背筋がゾクゾクして悪寒が走って止まらないんだ。


ここって絶対ヤベェ場所だろ。


俺と小泉は立ち止まった。


通路を抜けると目の前に巨大な空間が出現した。


ゆらゆらと揺れる水面が見える。


流れていた水の終着点はこの小さな地底湖のようだった。


「洞窟の奥にこんな湖が…?」


そう言いかけた小泉がハッとしたように顔を引き攣らせた。


「なんだよ。何かあるのか?」


小泉の視線の先を俺も目で追う。


地底湖には無数の色とりどりの花が浮かんでいた。


「花…?」


こんな場所にか?


誰か来ているのか?こんな所に?


鮮やかな花に埋もれて浮かんでいるものを見た俺は言葉を失った。


真っ白な人間。






巨大な地下空間にあった地底湖の水面にそれは浮かんでいた。


は????

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