ep0. 「真夏の夜の爪」 ⑮12歳、処女と童貞の捨て方
ご安全に。
本当にこの行為は今必要なのか、と概史は何度も撫子に確認した。
子どもであることを捨てないと私は生き残れない、と撫子は呟く。
できればまだ子どもで居たい。けれどそれが許される環境にはいないのだ、と。
後戻りは出来ない。だから前に進むしかない。それは概史も同じだった。
何度も二人で話し合いおおよそのルールを決めた。
隣町のコンビニに出向き、リラックマの箱に入ったコンドームといくつかの箱入りのチョコレート菓子、ファンタオレンジとチェリオをカゴに入れ新人らしい外国人留学生のレジに並んだ。
菓子類と一緒に買ったのが功を奏したのかレジに不慣れなのか特に何も言われず調達出来たのは幸運だった。
ある程度の弾数は必要だった。
何度も念入りにネットで検索し爪を短く切り、座学による事前研修と模擬実技研修もキチンと行った。
その実行は予想より難航し慎重に行いたい方向の概史は無理だと判断した日は直ちに撤収した。
トライアンドエラーの結果、開始から四日目にしてようやく目標をクリアし実績は解除された。
本来の意図からすればその後は全く必要はない行為であったがそれは強制終了日まで引き続き継続される事となった。
しかし自宅パソコンの検索履歴を消していなかった為に兄フーミンに現場に踏み込まれ、いつからやってるんだ?トータル何回くらいやった?と胸ぐらを掴まれた概史は1ヶ月前から5回くらい、と少なめに申告し概史だけ5回殴られた。
その後、頭をポンと撫でられゴムを用意して使っていた事だけは褒められた。
二度とするなよ、と念押しされ元々初潮が来るまでという約束だったので二人は少し早めに行為からは全て撤退する事となった。
ご安全に。