ep4. 「暴かれた世界」 神は死んだのか?
ヤベェ場所に来ちまった。
不意に車が止まる。
草が生え散らかり過ぎていてもはやどこが道なのか土地なのかすら判らない。
ここだな、と小泉は窓から外を確認する。
整備も何もされていない、広場とも言い難いスペースに車を停め、俺と小泉は外に出た。
目の前の石階段はあちこちが崩れていた。
いつ造られた神社だろう。
江戸時代?戦国時代?
荒れ果てて廃墟同然になった神社ってさ、神様ちゃんと居るの?
俺はぼんやりと考える。
草が生い茂り、登る階段の足元もよく見えない。
いつ蛇とか出てきてもおかしくなさそうな最悪のコンディションで気分が悪い。
俺と小泉は無言で階段を上がる。
言いたいことはお互いに有った。
多分俺も小泉も口にするのが怖かったんだ。
予想した状態を遥かに上回る、朽ち果てた神社。
“こんな場所に本当に母親が居るのか?”
嫌な予感しかしなかった。
悪戯か何かだったらどんなに良かっただろう。
階段を登って行くうちに石の鳥居が見えてきた。
しかし、階段を登り切った俺たちは絶句した。
奇妙な鳥居。
石で造られた鳥居は右半分が綺麗さっぱり消失していた。
チェーンソーか何かで切断したかのように真っ二つの鳥居。
待てよ、じゃあ消えた右半分の箇所は何処に行ったんだ?
台風や災害で壊れたにしては不自然過ぎる状態に思えた。
もし崩れるなり倒れるなりしているなら周囲に右半分の鳥居の破片が散乱していないとおかしい。
周囲にはそれらしい残骸は見当たらなかった。
異世界へのゲートのようにも思える不可解な舞台装置に俺と小泉は言葉を失う。
もう、なんて言ったらいいか分からない。
俺の背筋がゾクゾクとするのを感じた。
俺と小泉は意を決して奇妙な鳥居をくぐる。
崩れかけた神社の本殿が姿を現す。
賽銭箱の木材は変色し、墨で描かれた文字も薄くなってすっかり読めなくなっていた。
迂闊に近寄ったり中に入ったりすれば倒壊の恐れもある。
床を踏み抜いてしまうかもしれない。
それはかなり危険な状態にも思えた。
しかし、ここまで来たら後には引けない。
小泉が目配せをする。
俺と小泉は一斉に神社内に突入した。
行くしかねぇんだ




