ep4. 「暴かれた世界」 中毒性のある謎の葉っぱ
出されたものは何でも食える。
さっきの婆さんの言葉はなんだったんだろう。
その発言の真意を確認できないまま、俺と小泉は婆さんに出された天ぷらを食べていた。
いや、こんなにガッツリとした夕食フルコースを出されるとは思わなかった。
松茸のお吸い物に付け合わせの常備菜のような物もドンドン出される。
ちゃぶ台の上は様々な料理で埋め尽くされている。
っていうかさっきの白飯はなんだったんだよ。
前菜か?前菜に白飯って聞いた事ないんだが。
庭に生えていた葉っぱのようなものも揚げられている。
さっき婆さんが庭に出て葉っぱを毟ってるのはなんとなく見ていたんだが、なんだこれは?
「コンフリィ揚げたんがたくさんあるけぇどんどん食べんしゃあ」
謎の葉っぱはコンフリィと言うらしい。コンフリー?
なんか知らんが美味かった。揚げたてだから余計に美味い。
うちの庭にも植えらんねぇかな?って一瞬思ったが天ぷらがちょっと難易度高いよな。
油もたくさん使うし、俺にできるだろうか。
婆さんが運んできた天ぷらを片っ端から食べている俺を小泉が呆れたように見ていた。
「さっき食ったのにまだそんなに入るのか?」
「田舎の爺さん婆さんとかこういうのデフォだもんな。サービス過剰というか」
出されたモンは食わねぇとな、と俺はさつまいもの天ぷらを口に運ぶ。
揚げたてってマジうめぇな。
小泉は俺を横目で見ながらため息をついた。
「で?結局どうなったんだよ?ここにきた収穫ってあったのかよ?」
小泉は俺の質問に答えず視線を泳がせる。
小泉の手元に何冊かの古い本があったのがなんとなく目に入った。
「参考資料的なのでもあったのか?」
その質問に深い意味はなかったのだが小泉は食ってかかるような口調で答える。
「……これはお前には関係ない!」
小泉は手元にあった古書のようなものを隠すようにカバンに仕舞った。
ん?今日って俺の呪い関連のことでこの婆さんちに来たんじゃなかったのか?
まあいいけどよ。
「じゃなにか?俺たちはここにタダ飯を食いに来ただけって事か?」
それはそれで一食浮くから非常に助かるしこれ以上ない程いいことだった。
しかし、それとは別になんとなく小泉の様子がおかしいような気もした。
意気揚々と俺を婆さんちに連れて来たはいいが、空振りだったから立つ背がなくて凹んでるのか?
「あの地図って結局何だったんだよ?」
小泉は少し考えるような素振りを見せてからこう呟いた。
「恐らく……あの場所に行かないことには何も始まらないんだろうな……」
結局なんだ?行くことになったのか?
結局行くのかよ。




