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ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 正しい処女の扱い方

そうはいかんだろ。

一呼吸置いて俺は静かに言った。


「御月、それは違うだろうが」


御月は驚いた様子で目を見開いている。


更に俺はこう付け加えた。


「お前は間違ってる」


お前だけじゃない、諸星キクコも間違っている、と俺はダメ押しで追加する。


「……何がどう違うんだ?」


御月はそのまま俺に聞き返してくる。


奪うだの捨てるだのって気軽に言うようなことなのか、と俺はそれに答えた。


「なんか、これはもっと大切に扱うべきことなんじゃないのか?」


命とまでは行かないが、それに近いような……人間としての尊厳、と言ったら大袈裟だろうか。


「菓子類のシェアじゃねぇんだ、人に気軽にあげるとか貰うとか、そう言うんじゃねぇだろうが」


……そうだよな、と御月は納得したように頷いた。


こういう素直なトコがまたコイツらしいなと思った。


「とにかく、お前は過去の判断と自分に自信を持てよ御月」


俺は御月の肩を叩く。


「『大事だから出来ない』って言った時のお前めっちゃカッコいいと思ったしマジ尊敬するって思ったんだぜ、俺」


ヤる判断よりヤらない判断の方が何倍も難しいし、そういうのちゃんと出来る男の方が信頼出来る。


俺はそれを痛いほどよく知っている気がした。


「……佐藤」


御月が俺をジッと見る。


見つめられるらると多少、気恥ずかしいんだが。


「……柿、おかわり要るか?」


御月は俺の発言と意図を読み取ってくれたろうか。


途端になんだか不安になった。


御月はどうやら天然のようで驚異の会話の噛み合わなさを発揮している。


「貰ってばっかじゃ悪ィからよ、今度俺も梨とか持ってくるわ」


うちには毎年この時期に親戚から送られてくる大量の梨があるのでお返しの品としてはうってつけであるような気がした。


俺は首を振った。


いやいやいやいや……


梨と柿をトレードしてる場合じゃねぇだろ。


御月と話してるとペース狂うよな、と思った。


頭のネジが5〜6本ほどブッ飛んでる御月レイジと諸星キクコの一件をどう着地させるべきか俺には全く想像もつかなかった。


けれど、この天然のお人好しイケメンの御月が悲しんだり悩んでいる様子を見るのも辛かった。


全ては諸星キクコから始まっているのではないだろうか。


諸星キクコが一方的に御月を振り、その後すぐに一方的に俺に交際宣言という名の宣戦布告をブチかましやがった。


そうだ、最初からこれは交際宣言なんて生ぬるいモンじゃねぇんだ。


事実上の俺への宣戦布告じゃね?


何の嫌がらせだか知らないが、これ以上純情な男心をもて遊ばれてたまるかよ。


女子だからって許される事と許されねぇコトがあるだろうが。


人に対して不誠実すぎる。


御月に対しても、俺に対してもだ。


俺は急に諸星キクコを締め上げたくなった。


女子だからってマジ容赦しねぇ。


明日はじっくりサシで会う必要があるな、と沸点がMAX近くになった俺は思った。


怒りでブチギレ寸前の俺を見た御月は茶色の紙袋いっぱいに柿を入れて俺に差し出して来た。


この状況でなんで更に柿なんだよ。


しかもなんで山盛りなんだよ。


怒りゲージMAXの俺は柿で満タンになった紙袋を抱えて家に帰った。






この二人に関わってたら意味わからなさすぎて頭がおかしくなりそうだな、と俺は確信した。




大量に柿をもらってしまった。どうすんだこれ…


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