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★ep10.『夢千夜』聖母と道化、その支配人 第十五夜
とにかく終わってしまえばこっちのものなんだ。
服が脱げないならこのままでいいんだ。
俺は少し乱暴に──────────構造のよくわからないジャケットを引っ張った。
(ジャケットなんだかワンピース状になってるんだかよくわかんねぇんだが)
やたらたくさんくっ付いてるリボンは解けないやつだろうな。
隙間が出来た部分に手を滑り込ませる。
汗ばんだ胸の柔らかい感触がダイレクトに伝わってくる。
「……っ!」
小泉が身体を硬くしてあくまでも抵抗の意思を見せているのがわかる。
「すぐに終わるから大人しく───────────」
胸を弄りながらそう言いかけた瞬間、俺は横っ面を引っ叩かれた。
小気味いい音が室内に響く。
油断していたからか、頬の内側が切れているのがわかった。
血の味が口の中に広がる。
俺は無性に苛ついていた。
この状況を打破できる手段はこれしかないのに。
この期に及んでどうしてそこまで拒否るんだよ!?
水森が助からなかったらどうすんだよ!?
俺を睨みつける小泉の顎を引き寄せ、そのまま唇を塞いだ。




