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★ep10.『夢千夜』聖母と道化、その支配人 第六夜
この女─────────まさか!?
そう思った瞬間、俺の身体はその場を飛び出していた。
女はスタッフ数人に取り押さえられていた。
まさかとは思うが───────────水森唯をピンポイントで狙ったのか!?
照明器具を落下させた!?小細工したってのか?
いや。
今はそれを考えても仕方がない。
今俺に出来ることをするしかないんだ。
走り去る俺の背中に向けて女が叫んだ。
「スタア☆レモネイドはあれで終わりなんだよ!!終わり終わり!!」
俺はひたすら走って─────────裏の公民館の一室、会議室のドアの前に辿り着いた。
ドアには手書きの紙に書かれた『新生スタア☆レモネイド様』という表示がある。
メンバーが居る楽屋だ。
意を決した俺は部屋に転がり込んだ。
「……!?ちょ、佐藤っち!?」
どうしたのよ!?と真っ先に俺に反応したのは上野だった。
メイク中の他のメンバーもこちらを見る。
「ちょっと!楽屋にノック無しで入ってくるとか信じらんない!!」
諸星キクコがブチ切れた様子で金切り声を上げる。




