1100/1123
★ep10.『夢千夜』聖母と道化、その支配人 第五夜
「早く!」
救急車を呼ぶように叫ぶ男性スタッフの顔も真っ青になっている。
「おい……!アンタ誰だ?ここは関係者以外は──────────」
救急車を呼ぼうとしたべつの音響スタッフが誰かと話している。
何やら様子がおかしい。
30代くらいの少し派手目な女性。
その女性の顔には見覚えがあった。
誰だった────────────?
俺は記憶の糸を手繰り寄せる。
ライター。
そう、何かのブランドのライターを持っていた女だ。
あれは──────────いつか水森唯の前に姿を表したガラの悪い女じゃないか?
スタッフに取り押さえられた女は叫んでいた。
「許さない!!!スタア☆レモネイドを蘇らせるとか余計なことしないで!!!」
なんだ……?
この女は新生スタア☆レモネイドが気に入らないっていうのか?
まさか。
この女が照明に細工してわざと水森唯の頭上に─────────────!?




