ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 今回はガチで黒ギャルに襲われる
勘弁してほしい
「は?アンタ昨日はドコ行ってたのよ!?」
翌日の放課後。
俺は諸星キクコにとっ捕まり、尋問を受けていた。
いやこれマジで尋問だろ。何で待ち伏せてんのこの女。
「アタシはアンタの彼女なのよ!?もうちょっと気を使いなさいよ!」
仁王立ちした諸星キクコはなかなか機嫌が悪そうだった。
何で俺はこんな目に遭ってるんだ?
俺は昨晩の事を思い出していた。
御月レイジ。
アイツは滅茶苦茶いい奴だった。
イケメンでいい奴な上に、性格も純粋そのものだ。
酩酊状態の御月は2時頃にこっそり自宅に帰って行った。
おそらく親に内緒で俺の家まで抜け出して来たんだろうが、ちゃんと戻れただろうか?
親には怒られなかったろうか。
俺は昨晩の御月の横顔を思い出していた。
白い肌にサラサラな黒い髪。長い睫毛。
整った御月の顔立ちは始終曇っていた。
俺なんか髪質バサバサなのワックスで纏めてるだけだし、イケメンでもなんでもねぇし。
俺じゃ御月の足元なんかには到底及ばない。
昨晩チラリと見えた待ち受け画面。
御月の元カノというのは諸星キクコなんだろうか?
あんなイケメン捨てて俺と付き合う?
正気の沙汰とは到底思えなかった。
だってアイツだぞ?御月だぞ?男でも惚れるイケメンだぞ?クソが!
ちょっと!と諸星キクコが俺の両頬をツネる。
「アタシが話してんのよ!?ナニ他の考えごとなんかしてんのよ!?」
お前の元カレのコト考えてた、なんて到底言える筈はなかった。
いやほんと、お前らなんなの!?
なんで勝手に別れたり俺を巻き込んだりしてんの!?
お前らもう一回付き合えばいいじゃん、俺は諸星キクコなんて絶対好みのタイプじゃねぇし。
俺は一人でグルグルと思考を巡らせる。
「ちょっと!座るわよ!」
諸星キクコにベンチに座るように促される。
「喉渇いたわ!ジュースくらい買って来なさいよね!?」
気が利かないわね!と睨まれたので俺は仕方なく自販機でジュースを買ってくる。
ほらよ、と俺はペットボトルを諸星キクコに差し出した。
「は!?『がぶ飲みメロンクリームソーダ』!?めっちゃ頭悪そうな飲み物じゃない!?」
「なんでだよ美味いだろうが!?」
俺はわりと好きな『がぶ飲みメロンクリームソーダ』をdisられたのでイラッとした。
「まぁいいわ……我慢して飲んであげる」
「お前な……『がぶ飲みメロンクリームソーダ』の魅力を理解せん奴は飲むな!」
俺が飲むわ返せ!と俺は諸星キクコからペットボトルを奪い返す。
「は!?アンタどんだけ『がぶ飲みメロンクリームソーダ』が好きなのよ!?」
てか、2人居るのに一本しか買って来てないってどういうことよ!?と諸星キクコは再度俺の手からペットボトルを奪う。
「こういう気が利かないトコが童貞だってんのよ!」
諸星キクコはキャップを開けてクリームソーダを飲み始める。
「どどどど童貞ちゃうわ!」
いや、確かに童貞ではあるんだが。
諸星キクコが俺をギロリと睨む。
「何よ、文句あんの!?」
「しょうがねぇだろ、所持金178円しかなかったから一本しか買えんかったし」
言い訳じみているが本当の事だからしょうがなかった。
「は!?なんでそんなに所持金少ないのよ!?」
不良なんでしょ、カツアゲでもなんでもやったら良くない?と諸星キクコは言い始めた。
「そうはいかねぇよ。給料前はいっつもこんな感じだし」
「給料前?」
諸星キクコは怪訝そうな表情をする。
「俺んトコ、親が居ねぇんだよ。バイトと給食と給食の残りのパンで食い繋いでっから給料前は金が無ぇの」
俺は肩をすくめた。
本当の事だしな。
「ふぅん…」
諸星キクコは俺の顔をマジマジと見た。
「ほぼ全財産でこれ買って来たんだ?」
いいわ、じゃあ2人でこれ飲みましょ、と諸星キクコは俺の方を見た、
「えー。間接キスになるじゃん。そもそも俺はお前と付き合うなんて一言も言ってないし」
お前も付き合う相手はよく考えろよ、俺じゃなくて他にもっと居るだろうが、と俺はそれとなく言ってみる。
それに俺にだって選ぶ権利はあるだろう。俺だってちゃんと好きな女と付き合いたいし。
「要らねぇからお前一人で飲めよ。面倒くさい女だな」
若干イライラしながら俺は諸星キクコの顔を見た。
次の瞬間、柔らかいものが唇に当たっていた。
え?
ものすごく甘い味がする。
は?
気が付いたら俺は諸星キクコにキスされていた。
何これ?
え?
どゆこと??
いや、「がぶ飲みメロンクリームソーダ」美味いだろ…みんなも飲むよな…?
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