ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 0時、酔った勢いで滅茶苦茶になる
酒入れ過ぎたな…
しかし御月がこれほどまでに繊細な感性の持ち主とは思ってもみなかった俺は驚いた。
「でもよ、わかるぜ……そういうのさ……」
俺も酒を呑んでつい語ってしまう。
「世の中の全員、セックスセックス言い過ぎなんだよ!そういうんじゃ無ぇだろ大事なことってよ…!」
そうだな、と御月も頷く。
「……こう、真心というか気持ちをまず大事にしたいと思うんだ……」
「そうだよな!」
俺は御月の手を再びがっしり掴んだ。
「……まぁ、全く興味が無いかと言われたらそれも嘘になるが……」
「ホントそれな!」
俺も全力で同意する。
わかる……と言いながら御月はグラスの酒を呷る。
「ん?じゃあ御月は彼女と全くなにもしないままで別れたのか?」
それは……と御月は言葉を濁す。
「ちょっとは何かやったんか?教えろよ」
俺は酒の勢いで踏み込んだ質問をしてしまう。
まあその、キスくらいは……と御月は俯き加減で答える。
おいおい、結局その辺はやってるんじゃねーか。
「キスだけ?キスだけ?他は?」
調子に乗った俺は御月に追撃を喰らわす。
「……それは……」
酒のせいか御月の顔は真っ赤になっていた。
ちくしょう、酔ってもイケメンじゃねーかこいつは。
「もしかしてもっと過激なことやったりとかしてね?」
なんかちょっと意地悪したくなった俺は少し御月を揶揄う。
「……いや、そういう佐藤はどうなんだよ?」
不意にカウンターで返される。
彼女が今居るんだろ?と御月が俺をじっと見る。
「いやいや、付き合いはじめたばっかだし特には……」
と言いかけてふと公園での一件を思い出す。
そういや急に向こうから押し倒されたな、となんとなく呟いた。
「……佐藤が童貞卒業するのはそう遠くなさそうだな」
御月はしみじみと言いながらグラスにジュースを注いでくれた。
「なあ御月、お前もまだ童貞だよな……?」
なんとなく不安になった俺は御月に確認する。
「……そうだけど……佐藤は違うのか?」
俺は首を振った。
「当たり前だろ!?童貞だよ俺も!」
なんか怪しいな、と御月はジト目で俺を見つめてきた。
「……なんか佐藤は違う雰囲気がするな……未遂か何か今まであったのか?」
なかなか鋭い所を突かれた俺は言葉を詰まらせた。
まあそうなんだよな…
現在は童貞だけども未来の時間で一回捨ててまた戻って来てるから、なんか妙な感じではあるんだよな。
まあ別にいいけどな、と御月はゴロリと畳に横になった。
同じく俺も限界が来て畳に横になる。
御月のポケットからスマホが転がり落ちる。
御月がスマホを拾い、時間を確認する。
その待ち受け画面をチラリと見た俺は一瞬固まった。
御月の待ち受け画像。
それはあの諸星キクコだった。
TikTokで流行る前から「TEENAGE VIBE feat. Tohji」がめっちゃ好きでよく聴いてる。
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