それを捨てるなんてとんでもない！〜童貞を捨てる度に過去に戻されてしまう件〜 R15

ep10.『聖母と道化、その支配人』最大の危機

「誰がやったかはわからないけど……このままじゃ本番で衣装無しってことになるんじゃ─────────」

上野が言うことも尤もだった。

「確かに……」

水森唯が真っ青な顔のままで相槌を打つ。

「どうする……？量販店とかでパーティ用のコスプレ服でも買ってくるとか……？」

諸星キクコが現実的な提案をしてくる。

「ネット通販じゃ届くまでに時間も掛かるからな。市内の量販店で調達するか──────────」

数が足りなければ車で県外まで遠出することも考えておいた方がいいだろう、と小泉もその案に賛成する様子で頷く。

でも、と水森唯が震える声で絞り出した。

「パーティ用の廉価版みたいな衣装でスタア☆レモネイドとしてステージに立つなんて────────！！」

そうね、と佐々木が同意するようにこう続けた。

「あなたのお祖父さんが経営している老舗のお店は布地も扱ってるのに……安っぽいペラペラの服で大勢の人の前に立つなんてちょっと厳しいわね」