ep10.『聖母と道化、その支配人』推理
「本番は目の前なのにどうして────────!?」
諸星キクコが半狂乱で頭を抱える。
「今からじゃ新しいなんてとても間に合わないんじゃ……」
小泉も呆然とした様子で呟く。
そうだな。
本番前日に現地でリハーサルをすることになってるし、今からじゃとても新しく5着のステージ衣装なんて手配できないだろう。
「とにかく……状況を落ち着いて整理しましょう」
その場にいる全員が言葉を失っている中─────────真っ先に声を上げたのは佐々木だった。
「私達はさっきまで全員が外にいたわ。それより前も全員がこの室内にいた筈────────」
ええ……そうね、と、水森唯が真っ青な顔のまま頷く。
「最後にステージ衣装を見たのはいつかしら?」
佐々木の質問に対し、上野が震える声で答える。
「少なくとも1時間前くらいに前では異常なかったと思う……あーしがここにモバイルバッテリー取りに来た時は何もなかったし」
なるほど。
上野が直前に衣装の異常がないってのを確認してたって訳だ。
俺達はずっとここに居たし、外に出るまでは衣装には異常はなかったと仮定すると──────────────
「何者かがわたし達を見張っていて、隙をついて衣装を破損させた───────────そう考えるのが自然でしょうね」
佐々木の言葉にメンバー全員が凍りついた。
何者かに見張られていた!?
───────────そんなことってあるのか!?




