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ep10.『聖母と道化、その支配人』動力源
そこから俺と小泉のレッスンは佳境に差し掛かった。
8割はもう出来てたからな、小泉のヤツ。
体力はなんとかギリギリで回しているように見えたが、そこはなんとか踏ん張ってくれたみたいだ。
一曲目が完璧にこなせるようになり、二曲目の特訓が始まった。
ステージで披露する曲は全部で三つあるからな。
一曲だけできても意味がないんだ。
俺と小泉は早朝と夜、ただひたすら特訓を重ねた。
俺達は器用な方じゃないからな。
効率のいいレッスンだとかやり方なんて知らないんだ。
ただひたすら泥臭く、初歩のレッスンから積み重ねていく方法しか知らないし出来ない。
小泉の身体の負担はピークに達していたと思う。
けど、それ以上に───────────何故か不思議な動力で小泉は動いていた。
その動力源が何かなんて俺には知る由もない、
だけど。
ある時を境に────────────小泉の気合いの入れ方が変わったように思えた。
そして迎えた本番一週間前。
新生スタア☆レモネイドのメンバーが揃い、通しでリハーサルを行う日がやってきた。
 




