ep3 . 「嘘つき黒ギャルと初めての男女交際」 ゴムの数がいつの間にか減っている
またオレ何かヤっちゃいました?
家に帰った後、俺はぼんやりと一人天井を見つめていた。
御月レイジ。
嫌なやつかと思ったらめちゃくちゃいい奴だった。
帰り際に御月が言った言葉が少し気になっていた。
『……最近落ち込んでたから、今日は楽しかった』
ありがとな、と言われたのだが。
いや、夕飯、しかもすき焼きを食わせてもらった上に風呂まで世話になって普通にこっちがありがとうじゃねーか。
しかし御月ほどの奴が一体何があって落ち込んだと言うのだろうか。
ふと、(そういえば俺も過去一落ち込んでるんだったよな)と思い出し学ランのポケットから例の缶を取り出した。
呪いが実在することを証明する為の銀色の丸い缶。
花園リセの一件で小泉の立てた仮説も証明方法も何もかもが正しいと立証されてしまった。
俺は畳に寝転がったまま缶を手に取って眺めた。
本当に俺が使ったのか、この中身を。
何度考えても恐ろしい事だった。
俺は自分でも知らない間に女に対して何かやらかして、シレっと何食わぬ顔で時間を戻っていると言うのか。
気付かない間にまた何かやってたらどうしよう。
ここ最近、そればかり気になって全く落ち着かなかった。
俺は手の中の銀色の缶を見つめた。
まさかとは思うけど減ってないよな…?
まさかな、でも念のため見てみるか、と俺は何となく銀色の缶を開けた。
逆さにするとパラパラとカラフルな個包装のパッケージが出てくる。
畳の上に転がった個包装の中身を見た俺は気が動転した。
「は!???」
思わず俺は一人で叫ぶ。
3個。
個包装のパッケージは3個だけになっていた。
は?
は??
は???
どういうことだ?
え?
俺はパニックになる。
小泉から渡された缶の中身はデフォルトで6個入りだった。
待て、どういうことだ???
花園リセに対して使ったから減っている数は1のはずだった。
だからここにあるのは5個でないとおかしい。
しかし、目の前にある個包装のゴムの残数は3個だった。
2個、知らない間に減っている。
使った?
誰に使った??
一人に2個か?
或いは2人に一回ずつ?
俺の全身から冷や汗が滝のように流れてくる。
身体が氷のように冷たくなるのがわかった。
嘘だろ?
俺、また何かやってしまったのか?
ガチで犯罪者じゃねーか。
パニックになった俺は握りしめた缶の蓋を壁にぶん投げた。
乾いた音を立てて缶の蓋は跳ね、床に転がる。
苦々しい思いで俺は缶の蓋を睨む。
何かおかしい。
床の缶の蓋の内側を見た俺は違和感に気付いた。
小泉が貼ったはずのお札のような物が無くなっていた。
俺は缶の蓋を拾い上げ、間近で見てみた。
お札が剥がれた形跡や剥がした形跡も無かった。
「……??」
どういう事だ?
俺は学ランのポケットを探る。
ポケットの中から身に覚えのない青いハンカチが出てきた。
俺の物ではない。
更に胸ポケットを探る。
名札は登下校中だけは外す校則になっているが、俺は常に家に置きっぱなしにしていた。
しかし。
胸ポケットからは名札が出てきた。
これの俺の物ではない。
俺は名札を確認した。
『御月』と書かれた名札。
まさか風呂に入った時に脱衣所で学ランだけ入れ替わったのか?
だとしたら。
地元一番のモテ男だからゴムくらい持ち歩きもするだろう。
有名メーカーの量産品だから同じものを持っていてもおかしくない。
しかしマズい事になった気がした。
もしも御月が“俺の方”の缶を開けてお札を見てしまったら?
焦った俺は慌てて御月に電話を掛けた。
おいおいおいおい。御月、お前マジか?ハイペースで使ってるのか?
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