ep10.『聖母と道化、その支配人』 ポジション発表
「……次に……緑の“ポップン・メロンソーダ”のポジションだが────────」
佐々木七海。お前にやってもらう、と俺が告げると場内にまた歓声が上がった。
「えー!!佐々木っちがメロンちゃん!?」
絶対可愛いじゃん!と上野が佐々木にハイテンションで抱きつく。
「……そう」
肝心の佐々木本人は冷めた様子だ。
やっぱり自分がどのポジションかなんてあまり興味が無いのかもしれない。
「このメロンソーダはみんなのムードメーカーだからな。佐々木の演技力と洞察力を買ってのことなんだ」
お前なら出来ると信じてるぜ、と俺が言うと佐々木はニヤリと笑った。
「……あら。買い被りすぎじゃないかしら」
ふふ、と佐々木は小さく笑い、チラリと横の小泉を見る。
ムードメーカーらしく、早速周囲の様子に気を配ってるんだろうか。
さすが佐々木だなと思いつつも俺は次の日ポジションを発表することにした。
「えーと。次に赤、キューティ・ストロベリーアイスのポジションだが─────────────」
上野綾、と名前を告げるとまたしても場内に悲鳴が上がった。
「きゃあああああ!!!マジで!!!マジで!!!!!」
マジであーしがストロベリーなの!?と上野は俺の肩に掴みかかる。
「いや……だからお前がストロベリーなんだって」
ここで嘘ついてもしょーがねーだろ、と俺が言うと上野はその場でぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「あーしがストロベリー!?めっちゃ可愛いんですけど!??」
スクールカースト上位の一軍女子なのに何を言ってるんだろう。
元から学校じゃアイドルみたいなポジションに居るじゃねーか。
そんなに嬉しいもんなんだろうか。




