ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜㊷
!???
なんでそんなこと言い切れるんだ!?
花園リセの小泉に対する謎の信頼は一体なんなんだ?
そこまで信頼関係が生まれるほど、二人の間に絡みってあったか?
せいぜいRTA祭り(ep7参照)の時にごく短時間、一緒の空間に居ただけじゃないのか?
それとも。
俺が知らないだけで二人はいつの間にか意気投合してたとか?
「え……いやその」
俺がしどろもどろに答えると、ご令嬢は微笑みながらリボンの付いた可愛らしい包みを差し出した。
シックな黒のリボンが結ばれた─────────────お洒落で洗練されたクールなラッピングだ。
これはなんだろう?
「そうそう、お土産にと思いまして……こちらのお菓子を用意していましたのよ」
宜しければ小泉先生に差し上げて下さらないかしら、とご令嬢は満面の笑みを俺に向ける。
なんだ?
二人はすっかり仲良くなっていたのか。
女子ってこういうお菓子のやり取りとかよくやってるもんな。
花園リセがそこまで言うのなら───────────もしかしたら小泉がやってくれる可能性もあるのかもしれない。
「……そっか。リセさんがそこまで言ってくれるんならさ、俺もちょっとセンセェに声を掛けてみるよ」
この後に神社に寄ってみる、と俺がそう答えると、ご令嬢は聖母のような微笑みを浮かべた。
「大丈夫ですわ。それにわたくしも───────────小泉先生がアイドルとしてステージに立たれる姿を拝見するのを楽しみにしていますから」




