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ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜㊵

話したといっても呪いのことや時間を戻ったことは言ってはいない。


だが、俺の悲壮感が伝わったのだろうか。


ご令嬢は聖母のような微笑を浮かべた。


「……話してくださってありがとうございます」


大変だったでしょう。わたくしに出来ることならなんでも致しますわ、というご令嬢の言葉に俺は思わず飛びついてしまう。


「────え!!!じゃあ!」


ご令嬢は紅茶を飲みながら静かに目を伏せた。


「……ただ、わたくしがステージに立つことは出来ませんの」


それ以外のことでしたらなんでも、と花園リセは悲痛な表情で呟く。


「……!!」


なんてことだろう。


ここまで来てダメだった。


新生スタア☆レモネイドの五人目のメンバー。


花園リセには断られてしまった。


もう俺には人脈のストックがない。


これ以上、誰に頼めばいいんだ───────────!?


駅前で片っ端から声を掛けてスカウトするとかしかないのか?


いや。


もうそんな時間はない。


これまでにかなり日数をロスしてるんだ。


これ以上、スカウトに時間は割けない。


じゃあどうしたら──────────────!?


俺がそう考えていることを見透かしてるんだろうか。


ご令嬢は微笑みながらこう言った。










「……佐藤さん。貴方には素晴らしい女性の心当たりがあるんじゃありませんこと?」



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