ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜㉛
……え!?
いいのか?
俺と水森唯は思わず顔を見合わせる。
マジか。
四人目のメンバーは天宮烈奈で決定でいいのか?
俺達二人がそう思っていた矢先───────────神司が口を開く。
「ちょっと待てよ天宮!」
それって親は許可してくれるのか、と神司は天宮烈奈に向かって問いかける。
「オレ達未成年は何をするにしても保護者の許可が要るだろう?親の許可がない限りは勝手なことはできないと思うけど」
それは─────────────確かに一理ある。
天宮烈奈の親はアイドル活動を許可してくれるだろうか。
俺達の動揺を知ってか知らずか、天宮烈奈は無邪気にこう答える。
「だいじょうぶ!ちょっとおかあさんにきいてくるね!」
そう言うが早いか天宮烈奈は鳥居の外に向かって走り始めた。
あ、電話とかじゃなくて直接、家に帰って聞く感じなのか。
大丈夫だろうか。
俺達三人はその場で無言のまましばらく立ち尽くしていた。
十五分後。
気まずい雰囲気の中、天宮烈奈が全力ダッシュで走ってこっちに来るのが見えた。
ブンブンと手を振る天宮烈奈。
こちらも小さく手を振りかえす。
天宮烈奈はニコニコとしながらこちらに駆け寄ってきた。
これは────────────もしかして上手くいくフラグなのか?
俺と水森唯は顔を見合わせ、お互いに笑顔をこぼした。
しかし。
天宮烈奈の口から発せられたのは──────────予想外の言葉だった。
「あのね!おにいちゃん!ピアノのはっぴょうかいがちかいからだめだって!!!!」




