ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜㉘
俺と水森唯は八宇さんにお礼を言って別れた。
別れ際に八宇さんが『何かあったらいつでも連絡してくださいね』と言って連絡先を書いたメモを渡してくれた。
けどさ、今が一番ピンチなんじゃねぇのか?
メンバーは相変わらず見つからない。
なんとか説得(?)して加入して貰ったメンバーも上野綾と諸星キクコだからな。
このメンツ+あと二人で本当に新生スタア☆レモネイドはスタート出来るのか?
全くイメージが湧かない。
仮に出来たとして、水森唯はセンターでもないし目立つ算段がある訳でもない。
一番目立たないポジションになる可能性すらある。
本当にこれでいいんだろうか。
「あと、他に誰か頼める人はいるかしら────────────」
水森唯が不安げに呟く。
待て待て待て。
俺はコイツの祖父さんに頼まれてプロデューサーとやらになったんだろ!?
そんで俺も腹を括って引き受けたはずだ。
一回引き受けたからには俺はこれを責任もって最後までやり遂げる義務があるんだ。
水森唯を不安にさせちゃいけない。
そう思った俺は次のターゲットの元に向かうことを提案する。
「なあ水森。ちょっと神社まで付き合ってくれるか?ダメ元で頼んでみたい相手がいるんだ」




