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ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜⑩

結局、上野に詳しい説明をすることもなく俺達は解散した。


「……これで一人確保ね」


水森唯は胸ポケットから生徒手帳を出し、満足げに何かを書き込んだ。


「おいおいおいおい、これってガチ目の騙し討ちじゃねぇか」


上野が本当のことを知ったら断ってくるんじゃないか、と俺が言うと水森唯はそれを聞き流すように生徒手帳をポケットに仕舞った。


「いいのよ。とりあえず前に進んだ。今日はそれだけで充分よ」


そう力強く呟く水森唯はいつもの姿からは想像もつかなかった。


水森唯と、上野綾。


これで二人ってことなのか?


じゃあ、あと三人?


日も暮れたということで俺と水森唯はそこで解散し、明日改めて打ち合わせをするということになった。


翌日の放課後。


俺と水森唯は改めて顔を合わせた。


学校での水森唯は何の変哲もない、地味で目立たない女子中学生であることには何の変わりもない。


「隣の市との間にあるエリア……そこにあるボーリング場ってわかる?」


水森唯は何の挨拶もなく唐突にそう話し始めた。


コイツの中ではすっかり戦闘モードに切り替わってるんだろう。


アドレナリンが出っ放し。


そんな状況のように思えた。


「ボーリング場……?」


ああ、あの廃墟みたいになってるとこか?と俺が答えると水森唯は軽く受け流すように頷く。


「そう。数年前に廃業してからは空きテナントになってる場所よ」


水森唯はポケットから仰々しい鍵を出し、それを俺に見せた。


「お祖父さんの友人って人の所有物件らしくてね。レッスン場所として借りることができたわ」


廃墟のボーリング場。


そこを俺らで自由に使っていいって?


そうだな、ボーリング場だと鏡があちこちに付いててレッスンには打って付けだろうな。


なんて都合のいい秘密基地だろう。









あまりにも強引に進められていく計画に対し、俺は少し引き気味だった。



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