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ep10.『聖母と道化、その支配人』スタァ誕生前夜⑧

「珍しいじゃん、佐藤っちが誘ってくるなんてさ」


市内の駅前にあるスタバに呼び出した上野の機嫌はさほど悪くないように思えた。


先に席に座って待っていた俺と水森唯は顔を見合わせる。


いつもの制服に着替えた水森唯は、毎日学校で見る水森唯と全く同じだ。


少し長めの膝丈のスカートと、腹の出ない程度の長さのセーラー服。


軽めのフレームになったとはいえ、眼鏡を掛けた外見に華やかさはない。


真面目でお堅く、それでいて全く目立たず地味な女子そのものだ。


アイドルとは程遠いかもしれない存在。


ただ、その表情には─────────絶対に後には引けないという強い意思と決意が見てとれた。


「てかさ!てかさ!二人とも、いつの間にそんな関係になってたワケ〜?!」


もっと早く教えてくれたらよかったっしょ〜とニヤニヤ笑う上野は何やら誤解しているようだ。


「いや、そういう相談で呼んだんじゃなくて────────────」


俺はブンブンと首を振る。


ふぅん、と上野はニヤニヤした表情を抑えつつも俺と水森唯を交互に眺める。


そうだよな。


俺達が上野をわざわざ学区外の市内中心部のスタバに呼び出したんだからな。


この流れだとそう勘違いされるのも無理はない。


「……そうじゃないんだ」


折り行って頼みたいことがあるんだ、と俺が切り出すと上野は目を白黒させた。


「は?付き合ってないの?嘘でしょ?」


この状況で付き合ってないとか、じゃあなんの話なのよ、と上野が言うとそれに応えるように水森唯が口を開いた。


「……上野さん。あなたに───────────」


ふれあい祭りのステージに立って欲しいの、という水森唯の言葉に対し──────────状況を全く理解できてないはずの上野は軽い返事を返す。


「ステージ?いーよ☆」


カラオケ大会か何かの人数が足りてないの〜?と上野はあっけらかんとした様子で聞き返す。


どうやら上野はのど自慢大会か何かと勘違いしてるように思われた。


「……じゃあ決まりね」


水森唯は勝ち誇ったようにそう言い放った。


おいおいおいおい、言質を取ったつもりなのか?











内容を全く把握してない上野の承諾を取り付けたからと言って────────────それでメンバーが一人確保出来たって訳じゃないんだがな。



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